Samsungグループの電子部材メーカーであるSamsung Electro-Mechanics(サムスン電機)が、先進運転支援システム(ADAS)向け車載用半導体パッケージ基板となる「FC-BGA(flip chip ball grid array)」を開発し、ハイエンド車載用半導体基板のラインアップを拡充したと発表した。

  • サムスン電機が開発した車載向けFC-BGA

    サムスン電機が開発した車載向けFC-BGA (出所:サムスン電機)

同社では、同製品は電気自動車(EV)市場をターゲットにしたもので、これを武器にハイエンド自動車用半導体基板で世界トップ企業となることを目指すとしている。

自動運転の実現には、自動車に搭載されたさまざまなセンサが生み出す大量のデータを高速かつ遅延なく処理できるような高性能SoCの性能を最適化し、過酷な走行環境下においても、問題なく確実に動作できる高性能かつ高信頼の半導体パッケージ基板が求められている。

また、高性能な自動運転に向けた半導体の機能が高度化するほど、搭載される半導体チップや1チップあたりのCPUコアの数が増えるため、パッケージ基板も大型化・多層化し、バンプ数も増加する。

サムスン電機では、サーバなどのハイエンドIT製品で培ったマイクロ回路技術を自動車分野に適用することで、既存のパッケージ基板比で回路の幅と間隔を20%削減しつつ、パスポートの写真ほどのサイズに1万個以上のバンプを実装したとするほか、マルチチップパッケージに対応するための基板サイズの大型化や、積層数の増加に伴う曲げ強度の向上により、製品の信頼性を確保したともしている。

加えて、車載用半導体の信頼性は安全性に直結するため、IT製品よりも過酷な環境(高温、高湿、衝撃など)で安全に動作することが求められているほか、自動運転の高度化に伴う車載用半導体の性能や信頼性が重要性が増していくことから、同製品では自動車用電子部品の信頼性試験規格であるAEC-Q100の認証を取得しており、車体やシャシーからインフォテインメント、自動運転まであらゆる分野に適用できるようにしたとする。

なお、サムスン電機は、多層化、大型化、超小型化を実現する技術力をベースに車載製品のラインアップを強化しており、主要事業部門に電気自動車専門組織を新設するなどして、同分野でのシェア拡大を図っている模様である。