ヒューマンリソシアは3月8日、IT分野におけるジェンダー・ギャップに関するグローバル調査結果を発表した。これによると、日本は情報通信業で働く女性の割合は47カ国中30番目、またIT分野専攻の大学等卒業者に占める女性の割合は37カ国で最下位だったという。

同調査は同社が、国際労働機関(ILO)および経済協力開発機構(OECD)や各国の統計データを基に、情報通信業就業者に占める女性の割合、男女の賃金格差、およびIT卒業生に占める女性の割合について調査したもの。

情報通信業就業者については、2022年12月調査時に各国・機関が公表している最新データを使用し、データが取得できた47カ国・地域が対象。男女間賃金格差は、ILOの情報通信業就業者の平均月収データを使用している。

情報通信業で就業している女性の割合を47の国・地域別で見ると、最も女性の割合が高いのは台湾の41.8%であり、以下マレーシア(40.4%)、ベラルーシ(38.2%)が続く。10位以内には、フィリピン(36.8%、6位)、タイ(34.9%、10位)と、アジアから4か国が入る。日本は28.9%で、47か国中30位だった。

  • 情報通信業就業者に占める女性の割合(上位10か国と日本) 出典: ヒューマンリソシア

情報通信業就業者における男女間の賃金格差(女性の賃金平均÷男性の平均賃金で算出)について41の国・地域別で比較したところ、パキスタン、エジプト、フィリピンの3カ国では、男性より女性の賃金の方が高い。

日本は20位で米国(16位)を下回ったが、フランス(21位)、イギリス(24位)、韓国(29位)を上回る。

  • 情報通信業就業者おける男女間賃金格差(上位10か国) 出典: ヒューマンリソシア

  • 情報通信業就業者おける男女間賃金格差(11~20位) 出典: ヒューマンリソシア

情報通信学専攻の大学卒業者のうち女性の占める割合をデータが取得できた37か国について調査したところ、最も割合が高いのはスウェーデン(39.2%)であり、以下ギリシャ(33.0%)、エストニア(32.1%)が続く。

そして、日本は9.2%で最下位だった。韓国は6位(27.9%)、米国は13位(22.4%)で、37か国中10%を下回ったのは日本のみとなった。

  • 情報通信学専攻の大学卒業者における女性の割合 出典: ヒューマンリソシア

STEM(科学、技術、工学、数学)関連分野を専攻した大学卒業者における女性の割合では、同じく37か国においてポーランドが70.4%で最も多く、以下エストニア(69.4%)、スロバキア(67.0%)の順だった。

37カ国のうち28か国は女性の割合が5割を超えているなど、世界的に見てSTEM関連分野を学ぶ女性は多いと同社は指摘する。日本は29.0%で、情報通信学と同じく37カ国中最下位だった。

  • STEM関連分野の大学卒業者における女性の割合 出典: ヒューマンリソシア

同社GIT事業部長の今関彰範氏は、調査結果について「IT人材不足が大きな課題となっている日本は、情報通信業で働く女性の比率が低く、また非常に危惧される点としては、将来IT技術者となる可能性が高いIT関連分野で学ぶ女性が非常に少ないことがあげられます」とした上で、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に向けIT人材確保が課題となっている日本においても、リスキリングやITエンジニアという職業の魅力を高めるなどにより、女性を含めた多様な人材が活躍できる環境整備が重要となると考えます」と述べている。