富士通は3月8日、トロント大学との共同研究において、同社の量子インスパイアード技術である「Fujitsu Quantum-inspired Computing Digital Annealer」(以下、デジタルアニーラ)を用いてネットワークのモダナイゼーションを最適化する共同研究を実施し、その有効性を確認したことを報告した。

昨今は老朽化したネットワーク設備の増加に伴って、光ネットワーク技術を用いた設備へ移行するネットワークのモダナイゼーションが活発化している。しかし、サービスを停止せずに点在する旧設備を撤去するためには、旧設備を利用する全ての回線を新設備へ切り替える必要があり、移行期間には多くの旧設備を維持し続けるための占有スペースや電気、空調、メンテナンス費用などの多大な運用コストが課題となる。

また、切り替えの順序によっては遠方施設へ何度も訪問が必要になるなど、交通費や人件費といったコストも発生する。そのため、移行作業期間の初期段階でより多くの旧設備を撤去でき、かつ技術者の移動コストを最小化できる切り替え順序の探索が重要となる。

  • 回線切り替えと運用コスト

    回線切り替えと運用コスト

そこで今回、富士通とトロント大学は、数10設備と数100回線が関わる複数の大規模ネットワークから組み合わせ最適化問題を導出し、デジタルアニーラを用いてコストを最小化する回線切り替えの順序を探索する共同研究を実施した。

研究の結果、一般的な商用最適化ソフトウェアを用いた場合と比較して、移行期間中の旧設備の運用コストを最大30%削減し、技術者の移動コストを最大80%削減できることを確認したとのことだ。

  • 共同研究の結果

    共同研究の結果