両備システムズは3月7日、オンラインで記者説明会を開き、千葉県佐倉市と自治体システム標準化に伴うガバメントクラウド先行事業において、同市や関係機関の協力のもと、健康管理システム「健康かるてV7」をガバメントクラウドへ移行したと発表した。2023年1月から佐倉市では、ガバメントクラウド上での健康管理システムの運用を開始しており、両備システムズでは自治体システム標準化に対応した健康管理システムを、全国に展開していく。
ガバメントクラウド先行事業として実施 - 健康管理システムでは日本初
冒頭、両備システムズ 健康ビジネス事業部 事業部長の青木勉氏は「自治体向け健康管理システムをガバメントクラウド上で稼働させることは日本初だ」と述べた。
デジタル庁では基幹系20業務システムについて、自治体システム標準化法(地方公共団体情報システムの標準化に関する法律)にもとづいて国が推進する自治体システム標準化の一環として、2025年度までにガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムでの利用を全国の自治体での努力義務としている。
標準準拠システムとは国が定める標準仕様書に準拠したシステム、サービスとなり、大きく機能要件と非機能要件に分けられる。
佐倉市を含む8団体(11自治体)がガバメントクラウドへの移行に係る課題の検証を行う先行事業の対象団体に採択されており、両備システムズは「健康かるてV7」のユーザーである同市において、協力開発事業者(アプリケーション開発事業者)として参画している。
先行事業では、後続の自治体が安心してクラウド環境上で運用できるような指針を作成することを目的とし、各団体の連携検証で得られた結果から課題を整理している。
2025年度末までに800団体への導入を計画
健康かるては、地域保健・看護の観点から「みる・つなぐ・動かす」をコンセプトにした市区町村向けの住民健康管理システム。出生から介護までのデータ管理と、保健事業を支援する機能を備えている。
1987年の開発以降、現状では「健康かるてV7」が7世代目。全国694団体に導入されており、シェアは約40%とトップシェアを誇り、今回の標準化対象業務は母子保健、予防接種、がん検診、保健指導の4項目となる。
両備システムズは、引き続き佐倉市の先行事業の支援を行うとともに、今後も標準準拠システムへの移行、ガバメントクラウドを他自治体と共同利用する際の費用対効果の調査を中心に実施する。
また、先行事業を通して健康かるてV7の検証を完了させるが、標準化における機能要件には非対応のため、開発を進めている次世代の「健康かるてV8」ではガバメントクラウド単独利用式と共同利用方式の双方に対応し、標準化における機能要件・非機能要件に対応の標準準拠の健康管理システムとして進化させる。
青木氏は「2023年夏にリリースし、先行モデル自治体で稼働を予定している。そして、2025年度末までに800団体への導入を目指す。さらに、基幹系20業務システムの標準準拠システムを提供するとともに、ガバメントクラウドの活用推進、運用管理補助業務も提供する。そして、基幹系20業務システム以外の自治体DXに資するソリューションを提供していく」と力を込めていた。