セールスフォース・ジャパンは3月7日、三重県庁がSlackを2023年5月から全国の自治体で初めて全庁導入すると明らかにした。同県では2021年度から「県庁DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進に着手している。

三重県ではデジタル技術を活用した、さまざまな行政課題の解決や持続的な行政運営の実現に向けて、職員の意識改革やデジタルスキル向上などの「人材育成」と、デジタル技術の利活用を支えるために不可欠となる「基盤整備」を県庁DX推進の両輪として、積極的に取り組んでいる。

特に基盤整備については、2022年度に職員のコミュニケーション基盤の整備に着手し、既存のオンプレミス方式のメール・グループウェアシステムをクラウドサービスに刷新するほか、新たにSlackを全庁に導入し、2023年5月から利活用することを決定。

なお、Slackについては緊急事態宣言下にあった2021年8月、感染防止対策のためにテレワークを余儀なくされるなかで試行を開始し、職員がテレワークなどの環境下でもコミュニケーションの維持・活性化に高い効果を得たことが評価され、今回の導入につながっている。

具体的な効果としては、メールと比較して迅速なコミュニケーションが可能になり、Slackのブックマーク、メンション、ピン留め、絵文字などの機能で作業効率が上がったほか、スレッド機能でテーマごとに情報が一元管理できるようになったという。

また、Slackハドルミーティングを活用することで、ウェブ会議を設定しなくても簡単に音声通話で職員同士がやり取りできるようになっている。今後、三重県ではSlackをコミュニケーション基盤の中心的なツールに位置づける予定だ。

職員間でのコミュニケーション、メールや予定表など各種コミュニケーションツールとの連携の促進、Slackコネクトによる外部関係者とのコラボレーションの強化など、組織内外のコミュニケーションの活性化を図り、業務効率化と生産性の向上を目指す。

三重県庁 CDO(最高デジタル責任者)の田中淳一氏は以下のようにコメントしている。

「三重県では、デジタル化による生産性の向上などにより、県民の皆さんの時間や気持ちに余裕が生まれ、自己実現が図られることで幸福実感が向上することを目指す“みんなの想いを実現する『あったかいDX』”を基本理念に掲げて、デジタル社会形成に向けた取り組みを進めています。今回のSlack全庁導入は、庁内における「デジタルコミュニケーション」の定着化を図り、職員が多様で柔軟な働き方を選択できるとともに、県民サービス向上につながる政策立案などに注力できる環境を整備するために不可欠となるものです。自治体初となるSlack全庁導入によって、庁内におけるオープンなデジタルコミュニケーションの推進はもちろん、関係者とのコラボレーションも一層強化され、三重県がめざすデジタル社会形成に向けた取り組みが加速することを期待しています」(田中氏)