日本IBMは3月6日、13カ国1万4,000人以上の学生、転職希望者、求職者を対象に科学・技術・工学・数学(STEM)分野のスキルと教育、仕事に関する調査結果を公開した。また、職場復帰を目指す女性など、STEM教育にアクセスする機会の少ない人々にSTEM教育を提供するため、世界で45の組織が新たにIBM SkillsBuildの教育パートナーとなったとを明らかにした。

今回の調査により、世界中の学生、求職者、転職希望者は、さまざまな業界でSTEMに関連する職務に就くことを望んでいるが、キャリアの選択肢についてよく分からないという回答が多かったほか、キャリアの選択肢がないのではないかという懸念が挙げられたことが明らかになった。

今回の調査は、IBMがモーニング・コンサルトに委託して、13カ国1万4,000人以上の学生、転職希望者、求職者に科学・技術・工学・数学(STEM)分野のスキルと教育、仕事に関するインタビューを実施。

日本の調査結果

日本の調査結果では、STEM分野の仕事、デジタルバッジの認知度が世界に比べて低いということが判明。

STEM分野の仕事について、求職者と転職希望者が「よく知っている」もしくは「ある程度知っている」と回答した割合は、国別に見ると日本はフランスに次いで2番目に低い結果となった。また、学生がSTEM分野の仕事について「知らない」と回答した割合は日本が50%で最も高kくなっている。

多くの回答者は、適切なスキルがないため、STEM分野の仕事に就く資格がないと感じている。さらに、日本では他国よりもSTEM分野の仕事が少ないこと、自分の住んでいる地域では他の場所よりもSTEM分野の仕事が少ないことに同意する割合も高いという。

デジタルバッジ・プログラムについて、求職者の10人に3人、学生と転職希望者の5人に1人は「よく知っている」もしくは「ある程度知っている」と回答したが、学生と転職希望者の半分以上、求職者の4割は「知らない」と回答している。

世界の調査結果

一方、世界の調査結果はSTEM教育に関する誤解:費用が高い、学習者は何から始めればいいかわからない、デジタルバッジについてよく知らないという。回答者の61%が、適切な学位を持っていないため、STEM分野の仕事に従事する資格がないと考えている。

学生の40%が、専門的または技術的なスキル開発における最大の障壁は、何から始めればよいのかわからないことだと回答し、回答者の60%はデジタルバッジの取得は費用が高すぎると感じており、資格を取得しながら仕事を続けられることは転職希望者にとって特に重要だという。

回答者の学生と転職希望者の61%が現在就職・転職活動をしている、もしくは今後1年以内に就職・転職をする予定と回答し、回答者の80%以上が今後2年間に自分のスキルを高める計画をしており、少なくとも90%がオンラインプログラムでスキルを伸ばしたり、何か新しいことを学んだりできると確信している。

また、回答者の50%がSTEM分野の仕事を目指すことに興味があり、転職希望者の64%はSTEM分野の仕事についてよく知らないと回答し、多くの回答者はどの仕事がSTEM分野の仕事とみなされるのかわからないほか、回答者の62%が自分自身や家族を養うのに十分な報酬を得られるSTEM分野の仕事を見つけられないのではないかという懸念を抱いている。

回答者の多くは、今後STEM分野の仕事が増加する、またはデジタルバッジは従来の学校教育を補完し、キャリアの機会を増やす良い方法であると楽観的であり、回答者の66%が今後10年間で業界を問わずSTEM分野の仕事が増加すると考えている。

さらに、デジタルバッジの取得経験者の86%は、デジタルバッジがキャリア目標の達成に役立ったことに同意し、回答者の75%がデジタルバッジは従来の教育を補完する良い方法であることに同意。デジタルバッジを取得したいと回答した理由のトップは、就労機会と資格を増やすためとなっている。

これらの結果は、企業がテクノロジーの急速な進歩に対応し、現代のデジタル経済において優位であり続けるために、リスキリングに投資しているという実情とは対照的となっている。

このような誤解に対処し、STEM教育にアクセスする機会の少ない人々にSTEM教育を提供するために、世界で新たに45の組織がIBM SkillsBuildを通じた教育のパートナーとなっている。

IBM SkillsBuildは、社会福祉団体、経済開発団体、職業団体、政府機関、大学などの協力により、世界中の学習者が無料で利用できる、就労支援のためのオンライン学習プログラム。

日本では、2022年11月にフリーランスのリスキリングを支援するため、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(フリーランス協会)とパートナーシップを締結。同協会は、2020年7月から18歳以上の全会員への会員特典としてIBM SkillsBuildを無料で提供している。

これまでは外部団体へ別途登録が必要だったが、今回のパートナーシップでフリーランス協会が「IBM SkillsBuild-FAJ事務局」となり、会員情報との自動連携が可能になった。

このようなコラボレーションを通じて、IBMは2030年までに全世界で3,000万人のスキル習得を支援する考えだ。