デロイト トーマツ グループが3月6日に発表した「人事制度・報酬調査2022」によると、直近3年間において賃上げの実施もしくは具体的計画がなされた企業が7割を占めるものの、初任給・若手層を限定した賃上げは難しくなっている状況にあるという。
同調査は同社が2022年7月~9月にかけて、日本企業の役職・報酬体系に沿った形で、従業員の報酬水準、人事制度について実施したものであり、国内資本の企業を中心に196社が回答した。なお、集計対象の従業員総数は43万4618人。回答企業の内訳は、製造業が92社、非製造業が104社。上場区分は上場企業が143社、非上場企業が53社。
全産業における基本給・諸手当・賞与を含めた年間報酬額の中央値は、部長級が1091万円、課長級が882万円だった。役職間での報酬格差を内資企業と外資企業で比較すると、内資企業は階層間格差が全般的に小さく、とりわけ賞与において顕著な違いが見られたという。
年齢別の賃金カーブを見たところ、55歳以降の報酬水準の落ち込みが無くなりつつある。今回の調査結果では、定年延長企業が2割を超え、再雇用者制度導入企業でも定年前と同水準で処遇している企業が15%となるなど、高年齢層の処遇に変化が生まれつつある。
若年層については、初任給見直しや処遇見直し等が進んだことなどで会社間の水準差は小さい一方、企業間で競争力の差が生まれ、中堅世代である28歳以降では報酬水準が広がっており、人材獲得やリテンションで課題を抱える企業には報酬水準の検討の必要性がうかがえるとのこと。
直近3年間に賃上げを実施または具体的計画があった企業は、全体の7割だった。そのうち7割が、全体を対象とする賃上げとしている。
特に近年は初任給見直しや若手層の処遇見直しなどが進んできたこともあり、内資における階層間格差の小ささも相まって、初任給・若手層を限定した賃上げは難しくなっている状況がうかがえると、同社は分析する。