デロイト トーマツ ミック経済研究所は3月6日、クラウドをベースにソーシャルやモバイル、ビッグデータ解析、人工知能(AI)など先端ITを使った人事関連ソリューションであるHRTechクラウドに関する調査・分析結果を発表した。これによると、2022年度の同市場は前年度比35.6%増の797億2000万円であり、2027年度には2880億円まで拡大するという。
同社は同市場を、採用管理クラウド、人事・配置クラウド、労務管理クラウド、育成・定着クラウドの4分野と定義する。
2021年度の同市場は2020年度と比べて32.4%増の587億7000万円であり、2022年度は2021年度と比べて35.6%増の797億2000万円と見込む。
成長要因として同社は、1)有効求人倍率の回復、2)多様な雇用形態の管理需要、3)テレワーク常態化に基づく明瞭な人事評価やエンゲージメント/メンタルヘルス対策、4)有価証券報告書を発行する企業に適用される「人的資本の情報開示」の対応、5)人事関連情報に加えて、これらに基づく人時生産性などの情報も一元管理する統合プラットフォーム戦略などが主な要因だと見ている。
同市場は、2022~2027年度まで年平均29.3%増で成長を続け、2027年度には2880億円に拡大すると同社は予想する。
分野別の成長要因は、採用管理クラウドでは、Web面接関連ツールとの連携強化や、コロナ禍でシステム投資を控えていたユーザーの復調、有効求人倍率の上昇が後押しするという。
人事・配置クラウドでは、人的資本の情報開示義務化を背景とした社内リソース管理の対応および人事データの一元管理需要が追い風になると同社はみる。
労務管理クラウドでは、電子申請の義務化により中堅以上の企業で引き続き導入が加速するという。電子申告の普及により、年末調整などの需要が拡大するとのこと。
育成・定着クラウドでは、人的資本の情報開示におけるガイドラインであるISO30414への対応で、組織風土やエンゲージメント関連のデータ管理需要が加速するという。