BetaNewsは3月2日(米国時間)、「 Rows brings the power of GPT-3 AI to spreadsheets」において、自然言語モデル「GPT-3」ベースのAIを搭載したオンラインスプレッドシートツールが登場したと伝えた。ドイツに拠点を持つRows社が提供しているオンラインスプレッドシートでは、インターネットの情報を基にした要約や分類、または翻訳などといった作業を、人間に代わってAIが自動で行ってくれるという。

GPT-3はOpenAIが開発した文章生成向けの自然言語処理モデルである。膨大なサイズのテキストデータとパラメータを使用して学習を行うことで、非常に高い精度であたかも人間が書いたような文章を自動生成することができる。最近話題になっているチャットAIのChatGPTでは、GPT-3の後継版であるGPT-3.5が使われている。また、Microsoftが公開した検索エンジンBingの新バージョンは、GPT-3.5の後継であるGPT-4を採用していると言われている。

Rowsのスプレッドシートの新機能では、GPT-3を搭載することによって、インターネット全体を情報ソースとするテキストの自動生成を実現したという。レポートを作成する場合、Googleをはじめとするインターネット上のWebサイトからスプレッドシートにデータをインポートし、要約や数値計算、グラフ化などの処理を行うケースが多い。Rowsのスプレッドシートではこれらの作業をテキストで指示すれば、AIが自動で行ってくれるとのこと。

ChatGPTの成功を受けて、各種ツールにおけるAIの活用はますます活発になってきている。Microsoftは新型Bingの公開に続いて、Windows 11のタスクバー検索にもAI搭載の新型Bingを利用するプレビュー版を発表した。OpenAIでは、ChatGPTのAPIサービスを正式にスタートさせ、これによってサードパーティのアプリやサービスがChatGPTの機能を統合できるようになった。一方Googleでは、ChatGPTの対抗馬となるチャット型AI「Google Bard」を発表しており、検索エンジンや同社の各種サービスへの統合など、今後の展開が期待されている。