STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、USB Power Delivery Extended Power Range(USB PD 3.1 EPR)規格の認証を取得したデジタル電源制御IC「ST-ONEHP」を発表した。
同製品は、同社の高集積・省電力USB PD用デジタル電源制御IC「ST-ONEファミリ」を拡充するもので、28Vの出力電圧を備え、最大140Wの充電器および電源アダプタの開発を簡略化することができるようになると同社では説明している。
また、ST-ONEファミリ共通のアーキテクチャを採用するとともに、ゼロ電圧スイッチングの非相補型アクティブ・クランプ・トポロジに基づく制御に最適化されているため、高出力および高いスイッチング周波数において優れた効率を実現するほか、2次側レギュレーションやUSB PDインタフェースなどの機能も集積しているため、部品コストの削減や基板の小型化、設計簡略化にも貢献するという。加えて、内蔵の同期整流回路によって効率が最大化され、強化されたガルバニック絶縁により小型かつ安全性に優れたソリューションを実現するともしている。
さらに、Arm Cortex-M0+ベースの電源コントローラを組み込むことで、すべての制御が行えるほか、64KBの内蔵Flashメモリを使って、電力変換用のファームウェアをカスタマイズ可能。認証済みのUSB PDファームウェアもプリロードされているため、最終製品におけるUSBロゴの認証取得を簡略化できるともしている。
同社では、ST-ONEHPは、同社の第3世代GaNパワー・トランジスタとゲートドライバを集積したSiP「MasterGaN」と組み合わせて使用することで、より高集積・高効率を実現可能であり、MasterGaNの活用により、ST-ONEの機能を補完して性能を最大化するとともに、高いスイッチング周波数により受動部品の小型化を可能とするとしており、ST-ONEHPとハーフブリッジのMasterGaN1(9mm×9mm)を組み合わせたリファレンス設計「EVLONE140W」(サイズ:90cm3、電力密度:25W/in3、ピーク効率:94%超)も提供済みだという。
なお、すでにST-ONEHPは、主要顧客向けにリードタイプのSSOP36パッケージでサンプル提供を開始しており、単価は、1000個購入時に約3.90ドルとしている。