TrendForceの分析によると、現在、多くのDRAMサプライヤがウェハの多くをサーバDRAMに割り当てており、2023年、その供給量はモバイルDRAMを抜き、年間DRAM総ビット出荷数量の37.6%を占めるまでに成長することが見込まれるという。
こうした背景には2つの理由があると同社は指摘している。1つは、サーバDRAMの需要見通しが今後も比較的堅調であるという見通し。もう1つはモバイルDRAMが2022年に大幅な供給過剰に陥り、2023年に入ってもスマートフォン(スマホ)の出荷台数の伸びと搭載される平均DRAM容量の増加予測がかなり保守的であるという点。そのため、DRAMサプライヤ各社は、自社の製品構成におけるサーバDRAMの比率を拡大し続ける見通しである、逆転劇がが生じるとしている。
スマホの平均DRAM搭載ビット数量の成長は限定的
モバイルDRAM市場の失速は、2022年のスマホメーカー各社の在庫過多にあるが、2023年の現在、スマホメーカー各社は在庫削減努力を進めているほか、Appleが今年発売予定の次世代iPhoneではDARM搭載容量と仕様が強化されることが期待されている。
一方のサーバDRAM市場は、AIおよびHPC分野の新たなアプリケーションの登場により、出荷量やメモリ搭載量の増加が期待されている。そのため、今後数年間にわたって年間DRAM総ビット出荷数量に対する割合が拡大することが見込まれるほか、ある程度の需要に対する価格弾力性を有しており、その計画価格は2022年第3四半期以降、引き下げられていることから、TrendForceでは2023年、サーバに搭載される平均DRAMビット数量を前年比12.1%増と予測している。
サーバは2025年までNANDアプリの最大市場に
また、新型コロナの感染拡大を受けた世界的なデジタル化の波に乗り、サーバの出荷台数ならびにサーバの平均搭載メモリ容量が増加。結果として、エンタープライズSSDがNAND需要全体の成長を押し上げることになった。特に、ノートPC市場の減速からクライアントSSD市場が縮小。併せてNAND価格も下落したことから、スマホやサーバ業界がノートPCに代わって搭載容量増加の意欲を見せており、2023年の搭載ビット数量の成長率はいずれも前年比20%以上となる見込みだという。
また、NANDを取り巻く市場環境としては、AI関連技術を活用したサービスが今後、数年間で急増すること、ならびに高速データストレージとHPCに関する需要も高まりを見せており、エンタープライズSSDについて同社では、2025年までにNANDアプリケーション中で最大市場となると予測している。