freeeは3月2日、全国の労務担当者を対象に実施した、働き方改革関連法改正および「2024年問題」に関する調査結果を発表した。これによると、労務担当者を悩ませる業務は勤怠管理が最も多く、人事・労務クラウド・ソフトの導入には予算の壁がある実態が浮かび上がった。

同調査は同社が2月13日~15日にかけて、全国の労務担当者を対象としてインターネットにより実施したもの。回答対象者数は976人、うち2024年問題に関する回答対象者は医療・建設・運輸業界の338人。

働き方改革関連法の改正では、年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が50%以上となる対象が、従来の大企業に加え中小企業まで拡大される。また、医療・建設・運輸業界に対して例外的に認められていた時間外労働の上限規制の猶予が2024年3月末に終了し対応が必要なため、これを「2024年問題」と呼んでいる。

全体に、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率引き上げについて知っているか尋ねると、「知っている」が74.3%だったが、対応状況は「未対応・不明」が61.2%を占める。

  • 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率引き上げの認知度と対応状況(全業種) 出典: freee

未対応・不明との回答者にその理由を聞いたところ、「対応する必要を感じていないから」が33.8%と最多で、「対応策を考える時間が取れていないから」が30%で続く。

  • 対応していない理由(全業種) 出典: freee

働き方改革関連法改正の対応のために労務担当者の業務負荷が増えたと感じるか尋ねると、「負担が増えた」が43.3%に上った。

  • 働き方改革関連法改正対応で業務負担が増えたか(全業種) 出典: freee

2024年問題の対象となる医療・建設・運輸業の労務担当者を対象に認知度を見ると、「知っている」が83.7%を占める。

半面、2024年問題への対応状況は「未対応」が44%だった。

  • 2024年問題の認知度と対応状況(医療・建設・運輸業) 出典: freee

未対応とした回答者にその理由を尋ねたところ、「対応する必要を感じていないから」が36.8%で最も多く、以下「対応策を考える時間を取れていないから」(34.1%)、「まだ対応しなくても間に合うから」(21.6%)、「どのように対応していいかわからないから」(8.2%)が続く。

  • 2024年問題に対応していない理由(医療・建設・運輸業) 出典: freee

働き方改革関連法対応で労務担当者の業務負荷が増えたと感じるか聞くと、「業務負担が増えた」との回答は医療業では60%、建設業では50.3%、運輸業で52.6%と、2024年問題に該当する各業種とも5割を超えている。

  • 働き方改革関連法改正対応で業務負担が増えたか(医療・建設・運輸業) 出典: freee

全体に、普段の労務業務の中で負荷が高いと感じる業務を尋ねたところ、勤怠管理が26.1%と最多であり、以下、特にない/わからない(20.2%)、年末調整(15.5%)、給与計算(15.4%)、入社退社の手続(11.6%)、社会保険管理(10.7%)が続く。

  • 普段の労務業務で負担が高いと感じるもの(全業種) 出典: freee

働き方改革関連法改正への対応を見据えて人事・労務クラウド・ソフトの導入を検討したことがあるか聞くと、「検討・導入の予定はない」が34.9%、「導入を検討中」が29%、「すでに導入済み」が20.1%、「いずれは検討する」が16%であり、検討中・検討予定が計45%に上った。

  • 働き方改革関連法改正対応での人事・労務クラウド・ソフト導入状況 出典: freee

人事・労務クラウド・ソフトの導入検討に際して予算の都合で見送ったことがあるか尋ねたところ、「見送ったことはない」が45.7%で最多だったが、「見送ったことがある」が29.1%、「わからない」が24.6%であり、約3割が予算の都合で見送った経験がある。

  • 人事・労務クラウド・ソフト導入検討を予算の都合で見送ったことがあるか 出典: freee