Applied Materials(AMAT)は2月28日、高性能トランジスタや配線形成に必要とするEUV露光のダブルパターニング工程を1回に削減できる新たな回路パターン形成技術を搭載したパターニング装置「Centura Sculpta」を発表した。

先端プロセスでは、EUVの解像度限界を超える微細回路を形成する際に、ダブルパターニングを採用しているが、そのためには2枚のマスクを作成し、分割された2枚のパターンを中間パターニング膜に合成し、これをウェハにエッチングするという複雑な工程が必要とされており、工程数の増加、製造時間や消費エネルギー、材料の増大といった課題があった。

こうした課題解決に向けAMATでは、1回のEUV露光によるパターン形成後、新開発の独自技術によりパターン内の各形状を任意の方向に引き伸ばし、配線パターン間のスペースを減らしてパターン密度を高めることができる手法を開発し、Centura Sculptaに搭載したという。

  • Centura Sculpta patterning systemの外観

    Centura Sculpta patterning systemの外観 (出所:AMAT)

同装置では、角度をつけたリアクティブリボンビームを用いて、ウェハ上に形成されたパターン形状を任意の方向に引き延ばして、線幅を細くすることができるようになっている。最終的な回路パターンは1枚のマスクで作成できるため、ダブルパターニングアライメントエラーによる歩留り低下リスクも排除されるという。

EUVダブルパターニングには、一般にCVDパターニング膜堆積、CMP洗浄、フォトレジストの塗布と露光後の剥離、EUV露光、CD計測、パターニング膜エッチング、ウェハ洗浄など、多くの製造プロセスステップの追加が必要であるが、同システムによって、置き換えるEUVダブルパターニングシーケンスごとに、以下のようなメリットを得られるという。

  • 月産10万枚のウェハ処理ごとに資本コスト2億5000万ドル節減
  • ウェハあたり製造コスト50ドル節約
  • ウェハあたり15kwh以上のエネルギー節約
  • ウェハあたりCO2換算で0.35kg以上の温室効果ガスの排出削減
  • ウェハあたり約15リットルの節水

Applied Materials’ Pattern-Shaping Technology

高NA EUV露光用のCDを正確に測定するeBEAM計測装置も発表

また、AMATは、既存のEUVおよび高NA EUV露光による半導体の回路パターンのクリティカルディメンション(CD:限界寸法)を正確に測定できる新たなeBeam計測システムも発表した。

一般的に半導体製造では、CD-SEMを使用して、露光装置がパターンをマスクからフォトレジストに転写した後、サブナノメートルのパターンの測定を行っているが、フォトレジストがEUV、特に高NA EUVで薄くなるにつれて、半導体デバイスにおけるCD測定はより困難になってきており、CD-SEMでは、極薄のフォトレジストが占める小さな領域に狭い電子ビーム(eBeam)を正確に適用することが求められるようになっていたという。

AMATが今回開発した「VeritySEM 10システム」は、従来のCD-SEM比で2倍の解像度で低ランディングエネルギーを可能にする独自のアーキテクチャを特徴としているほか、スキャン速度が30%速くなり、フォトレジストとの相互作用が減少し、スループットが向上するという。

なお、VeritySEM 10システムは、すでにGate-All-Around(GAA)トランジスタや3D NANDなど、3D設計のクリティカルディメンション計測アプリケーションにも一部で採用されているという。

  • VeritySEM 10システムの外観

    VeritySEM 10システムの外観