パーソルキャリアが運営する転職サービスであるdoda(デューダ)は3月1日、同社が継続的に実施している「doda ビジネスパーソンと企業の転職意識ギャップ調査」の第5回として、ITエンジニア職に関するビジネス・パーソンと企業とのギャップの調査結果を発表した。これによると、未経験者・微経験者と募集企業とで業務内容やスキルにギャップが存在するという。

調査対象は、個人向けが転職を検討しているか興味があり、ITエンジニア職未経験者・微経験者および現職以前にITエンジニア職経験がある全国の20代および30代男女会社員(正社員・契約社員)で、回答者数は20代・30代が各100人の計200人。企業向けは、ITエンジニア職人材の獲得経験がある全国の20~60代男女中途採用・人事担当者200人が対象。いずれの調査も、1月20~27日にインターネットにより実施した。

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2023年1月時点におけるITエンジニア職のdoda転職求人倍率(転職希望者1人に対して中途採用の求人が何件あるか)を見ると、全職種の転職求人倍率が約2.3倍だったのに対して、ITエンジニア職にあたるエンジニア(IT・通信)は約11.2倍と大きく超えている。

  • 職種別転職求人倍率の推移 出典: doda

dodaが扱う約17万件の求人票を確認すると、2023年1月時点のITエンジニア職「未経験歓迎」求人の割合が2021年1月から約3.0倍に伸びている。ITエンジニアとしての経験が無いまたは軽微な人材への注目が高まっている表れと、同社は見る。

  • ITエンジニア職における職種未経験歓迎求人数の推移 出典: doda

個人・企業にITエンジニア職として働くことや採用についての意向を尋ねたところ、「興味がある」「重要性が高い」との回答がそれぞれ9割以上を占める。

  • ITエンジニアとして働くことへの興味関心度と採用重要度 出典: doda

1年前と比べて「興味度や重要性が上がった」との回答は、個人が72.5%、企業が80.0%に上る。

  • ITエンジニアとして働くことへの興味関心度と採用重要度の1年前との比較 出典: doda

企業に対して、現状のITエンジニア職をどのように確保しているのか質問すると、「実務経験者の採用」が84.0%と他の選択肢を大きく上回る。一方で、「微経験者の採用」(52.0%)が続き、「未経験者の採用」も16.0%に上っている。この結果から、経験者以外の人材への注目が高まっていると同社は見る。

  • ITエンジニア職人材の確保方針(複数回答) 出典: doda

ITエンジニア職未経験者と微経験者へどのような業務に従事したいかを尋ねると、Webエンジニアが未経験者で27.4%、微経験者で36.6%と最も多い。

  • ITエンジニア職未経験者・微経験者が従事したい業務(複数回答) 出典: doda

企業に対して、各業務の未経験者・微経験者の採用実績を尋ねたところ、社内SEが未経験者で16.1%、微経験者で36.3%と、特定の職種を示した回答において最多だった。未経験者・微経験者が従事したい業務と企業の採用実績にギャップがあると、同社は分析する。

  • ITエンジニア職未経験者・微経験者採用時の業務内容(複数回答) 出典: doda

未経験者・微経験者に、ITエンジニア職へ応募する際に企業が最も求めると思うスキルを質問すると、「現在トレンドなプログラミング言語、フレームワークの習得」が未経験者の24.7%、微経験者の16.9%で最も多く、以下も技術的なスキルが続く。

  • ITエンジニア職未経験者・微経験者が応募時に企業が最も求めると思うスキル 出典: doda

一方、企業に対して未経験・微経験者に実際に最も求めるスキルを尋ねると、「コミュ二ケーションスキルの向上」が25.0%で最も多く、ここでもギャップが見られる。

  • ITエンジニア職として未経験者・微経験者に最も期待するスキル 出典: doda

今回の調査結果を受けdodaの大浦征也編集長は、企業に対しては「個人の関心が高まっているからこそ、採用における『実務経験』の程度について、改めて協議を行ってはいかがでしょうか」と、個人に対しては「職務経歴書や面接では、前職での『経験』を通じて身に着けたビジネススキルに、これから習得するITスキルを掛け合わせて応募先企業で何を実現したいのか、どのような変化を起こしたいのかを伝えられるとよいでしょう」と呼びかけている。