NECソリューションイノベータと豊中市は3月1日、2022年7月~2022年12月の6か月間にわたって実施した、EBPM(Evidence-based policy making、証拠に基づく政策立案)に基づいた産業政策の効果検証の実証実験の結果を発表した。

その結果、税収効果として2019年からの4年間で固定資産税増収額が約2億円、産業集約効果として工業系用途地域での工場床面積が7万8387平方メートル、倉庫が1万2679平方メートル増加し、企業立地施策の有効性を確認することができたという。

豊中市では、2018年10月より、産業誘導区域に対する奨励金制度の拡充や補助金の創設を行う企業立地制度に基づく施策を推進していたが、税収の増加額など施策の費用対効果を十分に検証できない点が課題となっていた。

そこで、豊中市が保有する市政データと、NECソリューションイノベータが開発中のサービスを用いて、施策の定量効果を分析する実証実験が行われた。

豊中市の課題に対して、同社は統計的因果推論手法であるCausal Impactモデルを含むテンプレートを利用し、過去10年分の固定資産税データの分析を行った。企業立地施策対象区域のデータと、対象外区域のデータとを合成し、施策が行われなかった場合の対象区域の税収額を推計した結果、施策開始後の4年間で統計的に有意な確率で約2億円の増収効果がみられることがわかった。

  • 固定資産税(家屋)の増収効果推計結果

    固定資産税(家屋)の増収効果推計結果

また、工場と倉庫の床面積の変化を検証した結果、工業系用途地域では、他用途地域と比べて、4年間で約9万1000平方メートル増加したと推計され、同施策により工業系用途地域への住工分離・産業集約効果がみられることも確認できた。

同実証実験の成果を踏まえて、同社はEBPMの実践に必要となる各種分析機能や、加工済みの公的統計データを備えたサービスの提供を2023年度中に開始する予定だ。