矢野経済研究所は3月1日、協働ロボット世界市場を調査し、主要国の関連政策や支援制度、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
2021年における協働ロボット世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで44,204台、同出荷金額ベースで1,496億6,900万円と推計した。
生産・製造における自動化ニーズの波は大きくなりつつあり、人手不足やソーシャルディスタンスの維持、生産コストの削減、製造品質の向上など、生産安定化のための対策として、協働ロボットの導入は世界的に増加したという。
国別では、中国と欧州が世界市場をリードしている。中国では米国や欧州向けなどの輸出環境が厳しくなっているが、中国国内において協働ロボットの価値に対する人々の認識・理解が深まった事から、製造業だけではなくサービス業においても導入が進んだという。
業界では、世界経済の低迷による設備投資の減少で協働ロボットの需要が減少する懸念があったものの、欧州市場を除き、世界各国で着実に協働ロボットの導入が増加。世界の製造業が集まる中国や東南アジア、人手不足が深刻な米州(主に米国)、バッテリーおよび半導体の製造強国の韓国を中心に、協働ロボット市場の拡大が見込まれるとしている。
注目トピックとして、協働ロボットの動作速度改善に対する研究開発が進んでいることを挙げた。協働ロボットは安全に停止するためにTCP速度が250mm/s以下に設定されているが、動作速度を遅く設定すると生産性が低くなるという短所があることから、近くに作業者がいないときは産業用ロボットと同程度の動作速度の製品を発売するメーカーが増えているということだ。
将来展望としては、ロボットによる自動化のニーズは高まっており、協働ロボットの市場規模が拡大しすることで関連部品のコスト削減が期待できることから、協働ロボット本体の価格は2032年には2022年に比べ30%前後まで下がる見通しだという。
コスト削減により導入業界や需要分野がさらに広がることで、2032年の協働ロボット世界市場規模はメーカー出荷台数ベースで432,514台、同出荷金額ベースで1兆538億2,300万円まで成長すると、同研究所は予測している。