MWC 2023にあわせてIntelは、同社が「第4世代Xeon Scalable」に合わせる形で発表していた「Intel vRAN Boost」を採用するエコシステムパートナーなどを公開した。
Intelは今年2月3日に、“The Future of RAN is Virtualized and Open”と題したリリースを出しており、この中で“Our general-purpose network chips are constantly evolving, and the latest 4th Gen Intel Xeon Scalable processors with Intel vRAN Boost are poised to launch at the biggest connectivity show in mobile networking: MWC Barcelona 2023, alongside some of our largest customers.”(当社の汎用ネットワークチップは常に進化しており、Intel vRAN Boostを搭載した最新の第4世代Intel Xeon Scalableプロセッサーは、MWC 2023で当社の大手顧客と共に発表の予定である)と、Intel vRAN Boostの存在を公開している。これだけではこのvRAN Boostが何か? というのが良く判らないのだが、同日YouTubeのIntel Businessチャネルで“Maximize vRAN Transformation with Intel Solutions for vRAN”という動画を公開。この中でvRANソリューションとしてEthernet 800シリーズNetwork AdapterとvRAN Accelerator AC100をアナウンスしている(Photo01)。
Network 800 Adapterは、25Gbps×4のE810-XXVD4ATと10Gbps×8のE810-CQDA2Tの2製品(Photo02)であるが、こちらはすでに量産出荷中のものである。
一方、今回新しく発表されたのが「vRAN Accelerator ACC100」(Photo03)で、5Gおよび4GのFEC accelerationをサポートする。ACC100がPCIeカードであるから、当然Xeon ScalableにPCIeレーンで接続する形になる(Photo04)訳だが、この組み合わせが“4th Gen Intel Xeon Scalable with Intel vRAN Boost”として提供されることになる。
このvRAM Boostを組み合わせる事で、同じ消費電力ならvRAM Boost無しのGen 3 Xeon Scalableと比べて2倍の容量を捌けるようになるし、Gen 4 Xeon Scalable同士でもACC100を併用する事で20%程度の消費電力削減につながる、としている。これにより、汎用CPUを使う事によるTTMの短さという利点を享受しつつ、より高い性能/消費電力比を得られるとしている(Photo05)。
そして1台のDual Socketサーバーで1TbpsのUPF Workloadが処理できる、という話は今回初公開である(Photo06)。
同じく今回Infrastructure Power Manager for 5G Core softwareの存在も公開された(Photo07)。
すでにSK Telcomは同ソフトウェアを使い、10GWhの消費電力削減を実現している、とする。
その他、Converged Edge Media Platformと呼ばれる新しいEdge Service向けのプラットフォームも今回公開される。これは例えばCDNを立ち上げるにあたり、改めてシステムを構築しなくても既存のプラットフォームでそのまま効率的なCDNを構築できるようにするというもので、MWCではBroadpeak/China Mobile/Cloudsky/Thundersoft/ZTEの各社がこれを利用した展示を行うとしている。また、カスタム要件に関してはAgilex 7 FPGAとeASIC N5Xが提供される(Photo08)。
このAgilex 7とeASICのニーズであるが、Intelの予想ではCSP(Cloud Service Provider)は2023年から200G~400G Ethernetに移行し、2024年にはCoSP(COmmunications Service Provider)もこれに続くとしている。Agilex 7はFシリーズおよびIシリーズの合計30製品が発表されているが、これに続きAGI041という製品を予定しており、こちらは400G Ethernetに対応したものになる「らしい」。らしい、というのはこちらでも説明したが、Agilex 7のF/I/Mシリーズはいずれも400GbEをすでに搭載している(116G PAM4のPHYを複数搭載しており、100G×4Laneの400GbEは直ちに利用できる)からで、これと何が違うのかは現時点では不明である。
加えて同社によれば、eASICのN5XシリーズのうちN5X080を利用して400Gのインフラを構築する場合、FPGAと比較してコア電力を60%削減し、またプロトタイプ作成の時間を半分に出来るとしている。
ということでMWCにおけるIntelの5G向けのソリューションを簡単に紹介した。vRANと仮想化が現在の2大トレンドであり、これに対応するには汎用プロセッサの方が効果的というのがIntelのメッセージであるが、さて競合メーカーはどういうメッセージを出してくるのだろう?