ベルギーimecは、2023年2月初旬に米サンフランシスコで開催されたSPIE Photonics Westの招待講演において、シリコンフォトニクスプラットフォームに高帯域幅のアクティブデバイスの性能を低下させることなく高品質のSiN導波路技術を統合することに成功したと発表した。
これは、imecのシリコンフォトニクスプラットフォームにとって重要なアップグレードであり、これにより正確な光位相制御の恩恵を受ける高品質の波長選択デバイスやその他の光パッシブ機能の実現が可能になり、データ通信、LiDAR、およびその他のアプリケーション用の光トランシーバーに対する市場の需要に応える技術の提供が可能になるとimecでは説明している。
図1:imecのシリコンフォトニクスプラットフォーム「iSiPP」で製作された300mmシリコンウェハ
シリコンフォトニクス集積回路(PIC)に高品質のSiN技術を追加することで、低伝搬損失、正確な位相制御、低損失の光結合、熱変動の低減、および高出力を実現することができるようになるため、シリコンベースの光トランシーバーのエネルギー効率改善のためには重要な技術になるとしており、そうした高品質なSiN層は、高温でのLPCVD法によって堆積されるため、統合されたベースラインSiおよびGeデバイスの性能を低下させないようにする点が重要になるともしている。
なお、imecでは、産業パートナーが利用できるシリコンフォトニクスプラットフォーム「iSiPP」でこれらの統合の課題に取り組んできており、今回の成果は、これまでimecで使用されてきた低品質のPECVDを用いたSiフォトニクスデバイスと比較して、アクティブデバイスを劣化させることなく、SiNベースのマイクロリングの共振波長の変動を1/4以下に減少させることに成功したものであるとしている。