富士通は2月21日、アンモニアの合成手法を開発するアイスランドのAtmonia(アトモニア)と実施している、アンモニアをクリーンに合成するための触媒探索の共同研究において、常温常圧で水と空気と電気からアンモニアを効率良く合成する触媒材料候補を探索する技術を開発したことを発表した。
両社は、HPC(High Performance Computing)による量子化学シミュレーションを高速化するデータ生成と、そのデータをAI(Artificial Intelligence:人工知能)に学習させて未知のデータを予測するAIシミュレーションモデルを組み合わせ、触媒探索の効率を高める技術を開発したとのことだ。
HPCにより得られた量子化学シミュレーションデータの入力と出力の関係を教師データとして、対象となる材料探索に特化した学習を効率良く行うことで新たなAIモデルを構築したという。両社によると、従来の量子化学シミュレーションと比較して100倍以上高速に新たな触媒材料候補を予測できるとしている。
また、今回開発した量子化学シミュレーションで1万ケース以上のアンモニア合成触媒候補のシミュレーションデータを生成し、富士通の因果発見技術を適用したところ、触媒として適した材料の性質の傾向を発見でき、その傾向を用いて効率的に材料候補の絞り込みの方向性を決定できたようだ。