Microsoftは2月16日(米国時間)、「Options for using Windows 11 with Mac computers with Apple M1 and M2 chips - Microsoft Support」において、Apple M1およびM2チップを搭載したMacで動作する「Parallels Desktop version 18」が、「Windows 11 Pro (ARM版)」および「Windows 11 Enterprise (ARM版)」の動作に関して認定ソリューションになったと伝えた。
AppleはこれまでMacで採用してきたプロセッサをIntelプロセッサからAppleシリコン(M1チップ、M2チップ)へ変える取り組みを進めている。IntelのプロセッサとAppleシリコンはアーキテクチャが異なるため、これまでIntelプロセッサを搭載したMacでは仮想化ソフトウェアを使ってWindows (Intel版)を使用することができたが、AppleシリコンMacでは同じことができなくなっていた(完全にソフトウェアで仮想化するケースは除く)。
仮想化ソフトウェアベンダーは、ARM版のWindowsをAppleシリコンMacで利用できるように開発を行うことで対応策としてきた。しかし、これまでMicrosoftが正式にMacにおけるARM版Windowsの実行をサポートしてこなかったため、実験的機能としての位置づけでしか利用することができなかった。今回、Microsoftが「Windows 11 Pro (ARM版)」および「Windows 11 Enterprise (ARM版)」について認定したことで、AppleシリコンMacにおけるWindows (ARM版)利用に関して正規の道が開けたことになる。
なお、この認定によってWindows 11 (ARM版)のすべての機能が利用できるようになるわけではない。AppleシリコンMacの仮想環境で動作するWindowsではネストした仮想化機能を利用することになる次の機能はサポートされない。
- Windows Subsystem for Android - Amazonアプリストアで入手できるAndroidアプリをWindows 11で実行する機能
- Windows Subsystem for Linux - Windows 11でGNU/Linuxを実行する機能
- Windows Sandbox - Windows 11でアプリケーションを分離された軽量デスクトップ仮想環境で実行する機能
- 仮想化ベースのセキュリティ(VBS: Virtualization-based Security) - セキュリティで保護されたメモリ領域を用意し通常のオペレーティングシステムから分離して実行する機能
また、DirectX 12といったWindowsゲームやそのほかのアプリケーションでよく使われている一連のマルチメディア技術もサポートされないと説明されている。
MicrosoftはParallels Desktopについてのみ説明を行っているが、VMwareが「Microsoft Now Officially Supports Windows on Mac computers with Apple silicon - VMware Fusion Blog」においてMicrosoftの本発表について言及しており、VMwareもそう遠くない段階でVMware Fusionにおいて同様の取り組みおよび発表を行うことが予測される。
これまで、AppleシリコンMacで正式にリテール版のWindows 11を仮想環境で実行する方法は提供されてこなかった。今回の発表がAppleシリコンMacの仮想環境でWindows 11を実行するためのひとつのマイルストーンになるものとみられる。