NTTコミュニケーションズは2月17日、スマートエデュケーション事業に関する説明会を開催した。同事業では、「誰もが意思と特性に応じ、自分らしく学ぶ社会」の実現をミッションに据えている。
このミッションを具現化するソリューションの一つとして提供されているのがクラウド型教育プラットフォーム「まなびポケット」だ。同社はクラウド型教育プラットフォーム「まなびポケット」を軸に、教育向けソリューションを提供している。
「まなびポケット」は、生徒、先生・保護者、教育委員会・先生向けに、コンテンツ提供機能、コミュニケーション機能、データの分析・可視化を提供している。
「まなびポケット」は、「GIGAスクール構想」を実現するプラットフォームとしての活用に加え、「MEXCBT」の入り口となる「学習マネジメントシステム」(以下 学習eポータル)として導入されている。
「MEXCBT」は、文部科学省が開発を進める、児童・生徒が学校や家庭で、国や地方自治体などの公的機関などが作成した問題を活用し、オンライン上で学習やアセスメントができるCBT(Computer Based Testing)システム。
同日、「まなびポケット」の申し込みID数が500万を突破したことが発表された。スマートワールドビジネス部 スマートエデュケーション推進室 担当課長 田原聡士氏は、「まなびポケット」のID数拡大の背景として、先生に寄り添いエンパワーする学習e ポータルという方針を打ち出し、それに対する理解・共感が大きいことを挙げた。
田原氏は「先生は事務作業が多く、働きすぎ」と指摘し、「まなびポケット」では先生をエンパワーすることを目指していると説明した。具体的には、先生にとって負荷が高い事務的業務と保護者対応をデジタルによって省力化し、データによってチームで学校を支えていく。
また、「まなびポケット」では2月10日に、統合型校務支援システムへのシングルサインオン(SSO)が可能になる「統合認証サービス」の提供が開始された。
同サービスと、文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」 が定める他のセキュリティソリューションを組み合わせることで、教職員は校務用端末と学習用端末を1台に集約できるようになる。
あわせて、統合型校務支援システムをインターネット経由で利用する場合に、ガイドラインに対応した多要素認証を行う機能、まなびポケット利用時にリスクが高いアクセスかを判定し、リスクが高いと判断した場合に追加で多要素認証を求める機能も提供する。
こうした機能拡張には、文部科学省が進める「GIGAスクール構想」を軸とした学校DX(デジタルトランスフォーメーション)の方針と学校現場で求められる対応が大きく影響している。
GIGAスクール構想ではこれまで、小学校・中学校の生徒に対し、一人一台端末の配布が行われてきた。2023年からは数年かけて、校務システムのクラウド化が進められる。学校には、校務系と学習系のネットワーク環境があるが、今後、インターネット経由でクラウド上の両方のシステムにアクセスすることになる。
こうした学校のシステムのクラウド化をにらみ、令和4年3月の「教育情報セキュリティポリシーガイドライン」の改訂により、「アクセス制御によるセキュリティ対策」の内容が具体化した。
校務系システムにアクセスする際には「多要素認証」「SSO 」が必須に、また、「リスクベース認証」が任意で求められていることから、「まなびポケット」では統合認証サービスとして提供を開始した。
今後、校務支援システムや学習e ータル、MEXCBT などを含む教育情報システム間で、 児童生徒・教職員情報や出欠連絡情報などを連携させる検討が具体的に進んでおり、同社はクロス分析などの機能拡張を図っていく計画としている。