誰もが一度は利用したことのある身近な小売店と言えばコンビニエンスストアだろう。特に、ファミリーマート、セブンイレブンは、国内のコンビニの良きライバルとして、常にしのぎを削っている。
なかでも、近年SNSなどでよく話題に上がるのがファミリーマートだ。公式Twitterアカウントのフォロワーは470万人超と、この2年で倍近くに増加。頻繁に展開されるキャンペーンも尖ったものが多く、気になって思わず店舗に足を運んでしまった経験がある人もいるだろう。
そうした同社のマーケティング戦略を率いるのがエグゼクティブ・ディレクターCMO 兼 マーケティング本部長の足立光氏だ。マーケティングのスペシャリストとして知られる足立氏は、どのような考えでファミリーマートのマーケティングに臨んでいるのか。
1月24日に開催された「ビジネス・フォーラム事務局×TECH+フォーラム Marketing Day 2023 Jan. 顧客価値を創造するマーケティング経営」では、この足立氏によるマーケティング戦略に関する講演が行われた。
他社に「イメージ」で負けていたファミリーマート
足立氏はこれまで、多数の大企業のマーケティングや経営コンサルティングに携わり、成果を上げてきた人物だ。現在はファミリーマートでエグゼクティブ・ディレクターCMO 兼 マーケティング本部長を務める傍ら、I-neや生活協同組合コープさっぽろ、スマートニュースといった企業でも、社外取締役やマーケティングのアドバイザーとして活躍している。
マーケティングのスペシャリストとして引く手数多の足立氏だが、その手腕はファミリーマートでも如何なく発揮されている。
「ファミリーマートは、コンビニ上位3社における客数の推移において、2021年4月から2022年12月までの約2年間、前年比トップを維持し続けています」(足立氏)
ファミリーマートの好調を支える要因の1つが、同社のマーケティング戦略である。
そのポイントとして足立氏が挙げるのが「WHAT(何をするか)」と「HOW(どう伝えるか)」だ。
足立氏はまず、「WHAT」戦略を構成する次の5つのキーワードについて紹介した。
なぜ、こうした5つのキーワードを設定したのか。それは、「ファミリーマートは他社に比べて特徴が若干弱かった(継続的に訴求してこなかった)」ことだと足立氏は言う。