東京理科大学(理科大)は2月15日、高い放電容量を有し、バッテリーの正極材料として使用可能なマグネシウム酸化物「Mg1.33V1.67-xMnxO4(x=0.1~0.4)」の合成および結晶構造、電子状態の解明に成功したと発表した。

併せて、特にMg1.33V1.57Mn0.1O4(x=0.1)を正極に組み込んだマグネシウム二次電池を作製し、充放電サイクルを繰り返し行うと256mAh/gという大きな放電容量を示すことを明らかにしたことも発表された。

同成果は、理科大 理工学部 先端化学科の井手本康教授らの研究チームによるもの。詳細は、「Journal of Electroanalytical Chemistry」に掲載された。

現代社会を支えるリチウムイオン電池(LIB)は、エネルギー密度に関してほぼ限界に達しており、特に電気自動車用途においては、より高い電池特性を有するバッテリーの開発が求められている。またLIBはリチウムやコバルトなど、レアメタルを用いている点も大きな課題となっている。

そうした課題を解決するため、現在、ポストLIBとしていくつかの二次電池の研究開発が進められており、その1つとしてマグネシウム二次電池も研究開発が進められている。同二次電池は安全で扱いやすく資源量も豊富なため、低コスト化が期待できると同時に、体積当たりの放電容量も大きく、LIBを超える二次電池として実用化が期待されている。

このような背景の下、研究チームは、「Mg(Mg0.5V1.5-xNix)O4」など、マグネシウムとほかの複数の金属元素を含む複合酸化物の結晶構造や電子構造、電池特性についての報告をしてきたという。そこで今回の研究では、高性能が期待される正極材料の開発を目指すことにしたという。