アルバックが2022年度上半期(2022年7~12月)の決算業績を発表した。それによると、売上高は前年同期比5.4%の1113億6000万円、受注高は同10.7%減の1291億1000万円、営業利益は同8.3%減の104億6500万円となったという。
主力のFPD製造装置分野は前年度に活発化したITパネル向け液晶投資の反動から受注高、売上高ともに前年同期を下回り、全体の業績を押し下げる要因となったという。一方の半導体および電子部品製造装置分野は、ロジック向けを中心に、パワー・オプトデバイスなども投資が活発化したほか、中国の積極的な投資などもあり、受注高、売上高ともに前年同期を上回る結果となったという。また、コンポーネント事業は、半導体電子・EV用バッテリー・民生機器関連の投資活発化により、真空ポンプ・計測機器・電源機器などが好調に推移し、こちらも受注高、売上高ともに前年同期を上回ったとしている。
ただし、同社はFPD・マテリアルの受注高の減少などを理由に2022年度通期売上高予想を前回予想の2500億円から2300億円に、受注高を2700億円から2600億円に下方修正している。
半導体製造装置分野の受注高は前年同期比35%増
アルバックの2022年度上半期の受注額は、全体では減少したにもかかわらず、半導体・電子部品製造装置分野に限れば、前年同期比35%増となっている。日本および中国でのパワー半導体やロジック向け製造装置が好調で、中でもロジック向けとしては、先端企業で同社独自のEUV露光向けメタルハードマスクの採用が増加したとしている。
またパワー半導体分野では、受注額が前年同期比2.3倍と増加。日本および中国で受注を伸ばしており、同社も戦略として、中国における6インチSiCウェハイオン注入装置のシェア7割超をめざし、エンジニア派遣常駐による技術営業力を強化するとともにIGBT向けの12インチ・シリコンウェハイオン注入装置の拡販に注力するとしている。
韓国に半導体製造装置開発センターを建設へ
このほか、同社は半導体事業の強化として、韓国に60億円を投じて、Samsung Electronicsが先端半導体工場を有する京畿道平澤市に半導体製造装置の技術開発拠点「Technology Center PYEONGTAEK」を建設することも発表している。
同センターは2023年3月に着工、2024年3月に竣工する予定で敷地面積は約1万1550m2、建屋面積は約1万3000m2(約2008m2のクリーンルームを含む)。
今回の取り組みについて同社でも「顧客の近くで開発を加速し、顧客とのコラボレーションを強化する」ためとしている。
すでに同社は同じ工業団地内に、真空装置の製造販売とサービスを担当する現地法人「ULVAC KOREA」を有しており、同工場内でも開発業務を行ってきたが、顧客の開発ニーズが増えて、手狭になったため、研究開発拠点の新設を決めたとしている。
なお、韓国では、政府やSamsungなどの大手企業が、主要半導体製造装置・材料メーカーに韓国での研究開発や製造を要請しており、日米欧の主要半導体装置・材料メーカーによる工場や研究所の進出が相次いでいる。