静岡県裾野市と、スタンレー電気、加賀FEI、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、ダッソー・システムズは2月16日、4社で開発したスマート道路灯を活用し、路面凍結による交通事故削減に向けた実証実験を、2023年2月より裾野市で開始したことを発表した。裾野市の協力のもと、リアルフィールドにて車のスリップ事故や歩行者の転倒防止効果に関する検証を行う。

  • 道路照明灯にスマート道路灯路面描画装置を設置し、路面に「凍結注意」という文字を描画(イメージ)

    道路照明灯にスマート道路灯路面描画装置を設置し、路面に「凍結注意」という文字を描画(イメージ)

4社は、交通渋滞や事故など交通インフラにおける課題解決に向け、各社のアセットを集結したスマート道路灯を開発した。

スマート道路灯は従来の道路照明灯とは異なり、エッジAIカメラや環境センサー、路面描画装置を搭載。常時ネットワークに接続しているため、交通状態の把握・予測が可能。交通事故防止・削減に貢献できるほか、道路照明灯の故障、不点灯などの常時監視の省力化も期待できるとしている。

今回の実証実験では、裾野市石脇柳端橋の道路照明灯にスマート道路灯路面描画装置を設置し、路面に「凍結注意」という文字を描画する。また、スマート道路灯路面描画装置に搭載したエッジAIカメラや環境センサーからモバイル通信でデータを収集、蓄積して分析する。スマート道路灯路面描画装置の設置前後におけるスリップ事故報告数の確認や住民へのアンケートによる意識変化の有無の確認により、効果検証を実施するということだ。

各社の役割は、スタンレー電気がスマート道路灯用のLED照明器具の開発・製造、提供および路面描画装置の開発・製造、提供。加賀FEIがエッジコンピューター、センサーデバイスの提供および組み込みAIシステム開発。NTT Comがモバイル通信の提供および収集データの可視・蓄積プラットフォームの提供。ダッソー・システムズがバーチャルツインのプラットフォームの提供およびエッジAIカメラや環境センサーから収集したデータと地形データを基にしたバーチャルツインの構築とデータの可視化、シナリオ分析を担当する。

  • 実証実施場所と設置機

    実証実施場所と設置機器

今後は、他の自治体への幅広い展開を進めるとともに、道路照明灯の少ない新興国でのスマート道路灯の普及を図るという。また、収集データを気象データなどと組み合わせることで、降雪による渋滞予測情報の提示など、ドライバーに対して天候状況を踏まえた適切な情報提供を可能にし、道路管理者や交通管理者の業務を支援するという。

さらに、NTT ComのデザインスタジオKOELも加え、今後の将来構想に向けて調査・検討を進め、さらに商業施設やPark-PFIでの活用、地方創生に向けた商店街との連携などスマート道路灯の活用できる領域を拡大していく構えだ。