マイクロストラテジー・ジャパンは2月15日、事業戦略説明会を開催した。初めに、米国本社の社長 兼 最高経営責任者であるフォン・リー氏がグローバルの事業戦略を説明した。
リー氏は、「ビジネス・インテリジェンス(BI)」「ビットコイン」という2つの柱から成る事業戦略を紹介した。暗号資産が事業戦略の柱として掲げられているのはかなり珍しい。「われわれが独立家BIベンダーであることがカギとなる」と同氏は述べた。
リー氏は、同社がBI市場において、1999年といち早くWebベースのBIを投入し、2008年にはレポートとダッシュボードをモバイルに対応、2011年にはクラウドに対応するなど、先駆者としてBIのイノベーションを起こし続けてきたことを強調した。
その先駆者としての姿勢はビットコインの活用にも現れている。同社は2020年に財務戦略としてビットコインを採用、バランスシート上でビットコインを購入・保有することで、企業の価値保管庫としての国庫短期証券に代わったという。また、株主にも利益をもたらしているとのことだ。
リー氏は、ビットコインを採用した理由として「革新的な技術であること」「財務の健全性を保つこと」を挙げた。
「ビットコインを保有することはさらなる投資を行うための手段と考えている。ソフトウェア企業を測る指標の一つに株価があるが、ビットコインに投資してから、当社の株価は120ドルで、 前年比に対し119%成長した」(リー氏)
また、同社のBI製品を活用して、事業変革を遂げた企業として、ファイザーが紹介された。ファイザーはデジタル化のプロジェクト「SMART」により、一つの場所で営業に必要なデータを可視化することを実現、これを裏で支えているのがマイクロストラテジーの技術だ。
ファイザーはTableauから同社のBI製品にリプレースしたのだが、その結果、SMARTアプリが主要部門の90%以上に導入され、この導入率はBusiness Objects、Veeva、Tableauと比較して、2倍から3倍になるという。
リー氏は、顧客が同社の製品を選ぶ理由として、「再利用可能なオブジェクト」「希望に応じたパフォーマンスの実現」「統制とガバナンスの実現」「オープンアーキテクチャ」「Time to Value」「革新的な製品であること」を挙げた。
そして、リー氏は競合に対する同社のアドバンテージについて、次のように説明した。
「2017年から2020年にかけて、大企業では9から12の異なるBIツールが使われていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、企業のIT予算は削減され、製品の見直しが始まり、エンタープライズのさまざまなニーズを満たすツールに統合されることになった。こうした状況に対し、われわれの製品は1つのプラットフォームですべての分析ニーズに対応できる」
あらゆる分析のニーズに応えるためのプラットフォームとして、同社が提供を予定しているのが「MicroStrategy ONE」だ。同製品は今年5月に開催される年次イベントでの披露が計画されている。リー氏は、「MicroStrategy ONE」について、「BIデータがコストセンターになっているが、MicroStrategy ONEにより収益を生み出すように変え、CFOやCEOが経営判断に使えるようなビジネスレポートに進化させたい」と力強く述べた。
続いて、MicroStrategy バイスプレジデント 兼 アジア太平洋地域・日本担当ゼネラルマネージャーのローネン・ネイシュタイン氏が、アジア太平洋地域における業績について説明した。
アジア太平洋地域における同社の業績は、2021年は前年比21%増、2022年は前年比35%増の成長を遂げている。2023年は10%~15%の成長が見込まれている。こうした成長を牽引している要因は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「プラットフォームの統合」「クラウド」の3点だという。
ネイシュタイン氏は、アジア太平洋地域における重点項目として、クラウドを挙げた。IDCの調査によると、アジア太平洋地域の企業の28%がクラウドを重点課題に据えているという。同社としては、企業がクラウドに移行して、イノベーションとアジリティを推進し、TCOを改善することを支援していく。
国内の事業戦略については、日本のカントリーマネージャーである須崎弘一郎氏が説明を行った。グローバルと同様、国内のビジネスも好調であり、2022年度の売上は2021年度の2倍であり、売上の30%を占めているクラウドが売上増のエンジンとなったという。
続いて須崎氏は、2023年のビジネス戦略について「クラウド」「モダナイゼーション」「パートナーアライアンス」という3つの柱に分けて説明した。
「クラウド」に関しては、「MicroStrategy Cloud Environment」を軸に、事業を進める。具体的には、既存の顧客に対し同製品への移行を進めるほか、ホワイトスペースに対し、同製品の開拓を行う。
「モダナイゼーション」に関しては、前述した「MicroStrategy ONE」によるモダナイゼーションを進め、他の製品の最新バージョンへの移行を推進する。
「パートナーアライアンス」に関しては、「リセラー」「リセール&導入コンサル」「コンサルティングファーム」「グローバルストラテジックパートナー」「OEM」というカテゴリーの下、進める。
最後に、 ディレクターの宮原直人氏から、「MicroStrategy ONE」の紹介が行われた。同氏は、「顧客から、Microsoft Power BIやTableauが競合して出てくることが多いが、これらは規模が大きくなった時に対応できない。企業規模が大きくなってくると、データがどこにあるのかわからないなどの問題が出てくるが、エンタープライズ領域に強いマイクロストラテジーなら対応できる」と述べた。
「MicroStrategy ONE」では、管理ツール「Workstation.」において、レポート作成からサーバ設定まで、複雑な管理作業をシンプルにする。ビルドツール「Dossier.」では、リッチな表現を実現する次世代ダッシュボードを作成することができる。ワークスペース「Library.」は、データ検索とコラボレーションのためにパーソナライズされており、分析コンテツ、機能、アプリケーション全体のデザインをコードレスでカスタマイズできる。「Hyper.」は、情報を埋め込むことで、重要なデータを瞬時に確認することを可能にする。