NECと東京都市大学は2月14日、センシング技術やAI技術などの先進テクノロジーを活用したスマートインフラマネジメントに関する共同研究のMOU(基本合意書)を締結し、同日より研究開発を開始すると発表した。
同研究では、インフラ設備に対する異常予兆監視システムや劣化検知システムの開発・構築に取り組む。両者は共同研究で得た実績やノウハウを活かして、2025年を目処に一般橋梁・道路向けに構造物の健全性判定およびインフラの統合監視を実現するスマートインフラマネジメントシステムの社会実装を目指す。
同研究では、まず、橋梁に関するデータの統合とAIによる異常検知、健全度診断などに取り組む。具体的には、巡回点検車に設置された高感度カメラや赤外線サーモグラフィカメラ、加速度センサ、マイクなどから収集されるマルチモーダルデータを統合的に分析することにより、健全性判定や長期劣化傾向などの状態を多角的に監視するAI技術の構築・検証を行う。
このほか、橋梁に設置した汎用の光ファイバーによる振動データ計測による橋の構造パラメータの推定、交通状況の推定など、センシング技術活用にあたっての検証も複数実施する。
橋梁、トンネルなど、高度経済成長期に建設された社会インフラの老朽化が深刻な問題となる中、社会インフラの保守・管理のデジタル化に向けた研究開発が進む。しかし、NECによれば、その多くは対象となる異常や構造に対して単一センサデータの分析の活用が中心となっており、保守現場では熟練者が検査データの組み合わせを行っているという。