リモートアクセスサービス「CACHATTO」および「CACHATTO SecureContainer」を提供するe-Janネットワークスは2月9日、仮想デスクトップ(VDIおよびDaaS)の利用実態を把握するために実施した「仮想デスクトップに関する実態調査」の結果を発表した。

  • 仮想デスクトップ導入の実態に関する調査

    仮想デスクトップ導入の実態に関する調査

同調査は、2022年12月5日〜6日、従業員規模100名以上の企業において仮想デスクトップ選定・導入に関与した300人に対し、インターネットでアンケートを実施したもの。

仮想デスクトップの導入時期は「2018年以前」が最多で26%、次いで「2020年1~6月頃」が19%と、2018年以前に導入していた企業は、2019年の働き方改革関連法の施行に先駆けて環境を準備していたことがうかがえ、次点で2020年上半期に導入していた企業は、コロナ禍を契機として導入したことがうかがえた。導入のきっかけは、「セキュリティ強化」「​外出先等での業務の利便性向上​」「管理工数の削減」​の3点が上位となった。

  • 導入のきっかけと選定時の重視項目が関連

    導入のきっかけと選定時の重視項目が関連

仮想デスクトップの満足している点について、全体の40%強が「情報漏洩リスクを低減できる」「セキュリティ対策がしやすい」と回答し、一元管理のもと高い水準で情報セキュリティ対策を実行できている点を評価していることが分かった。

仮想デスクトップについて社内の利用者からよく挙がる不満点は、ネットワーク環境への依存による操作性の悪さという回答が40%にのぼった。さらに自由記述では、「回線のキャパシティに左右されるのは我慢ならない」「ローカルではなくネットワーク経由なので、どうしても動作が遅くなったり不安定になったりすることが少なくなく、完全にストレスフリーな環境で仕事ができるわけではない」という回答があった。

ネットワーク負荷やアクセス集中による利便性阻害については、導入検討時には重視されていなかったものの、コロナ禍を通じてアクセス集中などを経験し、実利用環境で想定以上に負荷が大きく、操作性に影響したことが不満要因になったと同社は推測している。

OSやアプリの一元管理によりアップデートの手間は削減できるとのポジティブな回答が50%弱あった一方で、30%強がサーバー増強やアップデート、ユーザー追加などの運用負荷や費用に不満を持っていた。

また、1人あたりPC2台の管理が必要である点も課題として挙がった。1人あたりPCが2台とは、仮想上のPCと従業員が保持するPCのことを指し、それぞれのOSやセキュリティソフトのメンテナンスを冗長と捉えている担当者がいると推測されるほか、費用面について「維持管理費が嵩むこと」「費用面で経営層から不満が出ている」という回答もあり、負担になっていることも判明した。

これらの結果から、仮想デスクトップの導入のきっかけは、「セキュリティ強化」「​外出時の利便性向上​」「運用工数の削減」​の3点が主であり、選定時の重視項目も同様のものが反映されていることが分かった。しかし、導入後の不満として40%が​「ネットワーク環境やアクセス集中時の操作性への影響が大きく、当初期待した利便性向上に相反​している」、30%強が「サーバー増強やライセンス管理、アップデートなどの運用に『手間』と『コスト』がかかっており、期待通りの工数削減につながっていない」と回答していることから、仮想デスクトップはセキュリティ面では満足度はあるものの、導入のきっかけとなった残り2点「利便性向上」と「運用工数削減」は期待通りになっていないことが明らかになった。