クラウドフレア・ジャパンは2月7日、事業戦略発表会を開催した。米Cloudflare 共同創設者兼社長兼最高執行責任者(COO)のMichelle Zatlyn氏は、「われわれは、安全性、信頼性、パフォーマンス、高速性を備えたインターネット体験を提供する。そのために、1日当たり1260億のサイバー脅威をブロックしており、世界のインターネットトラフィック全体の約20%を支えている。すべてはグローバルネットワークから始まった」と語った。
同社は現在、100カ国270都市以上をカバーするネットワークを構築しており、日本国内には10のPoint of Presenceを設けている。1万1000以上のISP、クラウドプロバイダー、大企業を含むネットワークと グローバルに相互接続しており、ネットワークの容量は172Tbpsに達している。
またZatlyn氏は、現在のインターネットが抱えている課題とそれに対する同社の取り組みについて、次のように語った。
「インターネットは現在のように使われることを想定して作られていない。インターネットの仕様書には、セキュリティは後日完成させると書かれており、オリジナルのインターネットの段階では、セキュリティが含まれていない。そのため、現在はプライバシーや個人情報保護、パフォーマンスなど、インターネットが始まったと当初は想定されていなかったものが必要になっている。われわれは今、インターネットに不足していた部分を補完しており、こうした要件を満たすために、クラウドフレアのようなサービスが必要になった」
国内の事業戦略については、クラウドフレア・ジャパン 執行役員社長の佐藤知成氏が説明を行った。同氏は、「われわれは、あらゆる産業のデジタル変革をリードし、日本社会全体を次のステージに 引き上げることを目指す」と述べた。
佐藤氏は、同社のビジネスがアプリケーションサービスから、ゼロトラストサービス、開発者サービス、ネットワークサービスに広がり、その結果、CDNから総合インターネットプロバイダーへと進化を遂げたことを紹介した。
ゼロトラストサービスとして、「Cloudflare One」「Cloudflare Area1」が提供されている。開発者サービスとしては、Amazon S3互換のオブジェクトストレージ「Cloudflare R2」が、また、ネットワークサービスとしては「Magic Transit」が提供されている。
総合インターネットプロバイダーとしての競合について、佐藤氏は「従来型のネットワークハードウェアを提供するベンダーとポイントのクラウドソリューションを提供しているベンダーの2種類ある」と説明した。こうしたベンダーに対し、「われわれは、TCOを押さえた形で統合されたソリューションを提供できる。そのため、ROIを改善できる」と、佐藤氏は語った。
クラウドフレア・ジャパンのビジネスの概況としては、新規顧客が前年度比で164%、売上が前年度比約100%で伸びているほか、ゼロトラストソリューションも前年度比で約7倍に増えているという。
これに伴い、体制も強化されている。人員を10名から50名に増やし、日本全国を対象とした人材採用や無制限有給制度などを行い、人事制度を改革した。
佐藤氏は、2023年度の重点施策として、以下を挙げた。
- グローバル組織と一体になった支援体制強化
- インダストリー別支援体制の推進
- 日本の法的対応への強化・推進
- Cloudflare Communityの立ち上げ
- Cloudflare Japan のさらなる人員体制の拡充
- 日本社会への貢献プログラムの展開
製造や流通などの課題に着目し、サプライチェーンをハンドリングして、安定したビジネスができるよう支援を行っていくという。また、顧客からの要望に応える形で、ユーザーコミュニティ「Cloudflare Community」を立ち上げる。コミュニティは今後、段階的に拡大が計画されており、4月には開発者向けのコミュニティ立ち上げの準備が行われているとのことだ。