Ideinは2月7日、同社が技術協力したアイシン製エッジAIカメラ「AI Cast(アイ キャスト)」を発表した。
同製品は、Raspberry PiとAIアクセラレーターチップ「Hailo-8」を搭載し、2.5Wの消費電力で理論性能として26TOPS(1秒当たり26兆回の四則演算)のAI処理を実現するというもの。販売予約の開始は2023年2月中旬を予定する。
発表会にはIdein 代表取締役/CEO 中村晃一氏が登壇。エッジAI市場の動向と今後の予測について解説がなされたほか、具体的なエッジAI導入事例の紹介が行われた。
なぜ今、エッジAIなのか?
Ideinは、エッジAIプラットフォーム「Actcast」を展開するスタートアップ企業だ。「実世界のあらゆる情報をソフトウエアで扱えるようにする」というミッションを掲げ、画像認識や音声認識といった技術に取り組んでいる。
Actcastでは、店舗や工場に設置されたカメラやマイクなどのエッジデバイス(センサーデバイス)から、リアルタイムでデータを収集。クラウド上に集積されたデータは、既存のクラウドサービスなどと連携させることでさまざまな目的に活用できるという。
このエッジデバイス上でAIによる処理を行わせるのが「エッジAI」と呼ばれる仕組みであり、近年注目を集めている。その理由として、中村氏は「データセンターやネットワークへの負荷の集中」「超低遅延化需要の増加」「プライバシーへの関心の高まり」の3つを挙げる。
「まずデバイスの数が単純に増加していて、そこで動くアプリケーションの負荷も高いものになっています。また、自動運転車やロボットの制御などを行う上で、処理のために都度通信していては間に合いません。さらに現在、1社でデータを収集することへの規制が強まっていることから、可能な限りデータをエッジ側で処理してしまおうというわけです」
同氏曰く、データセンターへの負荷集中に関して言えば、2030年には世界中のデータセンターの消費電力のうち、半分以上がAI用途に使われることが予想されているという。