GaNパワーICサプライヤがコントロールICを強化
GaNパワーICサプライヤである米Navitas Semiconductorは、アナログおよび電源管理集積回路開発を得意とする米Halo MicroelectronicsとシリコンコントロールIC開発合弁会社のHalo分の株主持分を2000万ドルで取得することで合意したことを発表した。
同合弁会社は2021年にNavitasのGaNパワーICと組み合わせて動作するように最適化されたアプリケーション固有のシリコンコントローラICを開発することを目的に設立されていたもので、最初の製品ファミリは、再生可能エネルギー、電気自動車(EV)モバイル、コンシューマ、家庭用電化製品、および補助電源のAC-DC電源アプリケーションなどに対応している。
これらのシリコンコントローラICとGaNパワーICは、20 ~500Wのアプリケーションをターゲットにしており、チップセットとして集積されるか、またはパッケージ化され、2023年後半に製品を市場に販売しようという数十社の顧客が採用を決定しているという。
今回の取引は2023年2月中に完了する予定で、Navitasでは、シリコンコントローラICの市場は、2026年までに10億ドルを超す規模に成長することが予想されるとしている。
同社のCEO兼共同創設者であるジーン・シェリダン(Gene Sheridan)氏は、「シリコンコントローラICはすべての電力システムに必要であり、システムアーキテクチャを決めるキーデバイスである。シリコンコントローラICをGaNおよびSiCと組み合わせることで、Navitasは顧客が次世代のパワーエレクトロニクスでGaNまたはSiCを使用する場合において、そのアーキテクチャの決定に影響を与えることができるようになる」と述べている。
英CMLが買収でGaN MMICなどの製品ポートフォリオを拡充
一方、通信アプリケーション向けのミクスドシグナル、RF、およびマイクロ波半導体を開発するファブレスIC設計会社である英CML Microsystemsも、シリコンバレーにあるMMICメーカーMicrowave Technology(MwT)を1800万ドルで買収する最終契約を締結したことを発表している。
MwTは1982年に設立され、商用無線通信、防衛、宇宙、医療(MRI)向けGaNおよびGaAsベースのMMIC、ディスクリート、およびハイブリッドアンプ製品の設計と製造を行ってきた。同社は2019年、米Littelfuseによって買収され、ファブレスへと転換を図り、事業を行ってきた。
CMLによると、この買収により、GaN MMICなどの製品ポートフォリオが拡大するほか、研究開発能力が向上し、システムレベルの集積技術、製品製造およびパッケージング技術における重要なノウハウと経験を獲得できるとしている。MwTの製品は、CMLの既存製品群を補完するものであり、その顧客のほとんどは米国内に留まっていることから、CMLでは、MwT製品を国際化することで、事業拡大が期待できると考え買収を決定したという。
なお、同買収には、米国の規制当局の承認が必要であるが、2023年上半期中に買収手続きは完了できる見通しだという。
このように欧米では、大手GaN/SiCメーカーによる数千億円規模の工場建設の計画が進む一方、中堅ファブレスを中心とした数十億円規模の買収も並行して進んでおり、業界の整理統合が進行している。