ライオンは2月9日、日立製作所の日立健康管理センタと協働で、職域における歯科健診の導入が従業員の口腔・全身健康に及ぼす影響について、調査研究を実施し、その結果を公開した。

歯科健診の導入により従業員のオーラルケア行動の実施頻度が経年で増加し、口腔の健康状態が改善していたのに加え、唾液検査指標と全身健康指標との間に関連性が認められ、口腔の健康状態が全身健康と関連することを見出した。

  • 歯科健診の導入でオーラルケア行動の実施頻度の増加および口腔の健康状態改善

    歯科健診の導入でオーラルケア行動の実施頻度の増加および口腔の健康状態改善

ライオンは、年間1万人以上の従業員に対して人間ドックを実施している日立健康管理センタと協働で、職域における口腔と全身健康状態との関連性の解明に向けた調査研究を推進してきた。同センタでは2016年度から受診項目に歯科健診を導入しており、職域における歯科健診の実施が従業員の口腔状態・全身健康状態に及ぼす影響について検証した。

2016〜2019年度に取得したオーラルケア行動に関する問診データを解析した結果、健診導入後から経年的にオーラルケア行動(1日の歯みがき回数、フロス使用率)の実施頻度が増え、歯科通院率に関しても歯科健診導入後から経年的な増加を確認したという。定期的に歯科健診を受診し、さらに自身の口腔内の状態をSMTや口腔内カメラ で視覚的に把握することが、従業員のオーラルケア習慣の向上につながるとみている。

  • オーラルケア行動変化

    オーラルケア行動変化

また、同期間に取得した唾液検査項目のうち、歯ぐきの健康状態(唾液中の白血球値)を口腔の健康状態の指標として解析した結果、歯ぐきの健康状態が悪い人の割合は、歯科健診導入年度の2016年度と比較して、2019年度では約20%減少し、歯ぐきの健康状態が良い人は約10%増加していた。オーラルケア習慣が向上したことにより、口腔健康状態が改善した結果だと推察している。

  • 歯ぐきの健康状態(白血球値)の変化

    歯ぐきの健康状態(白血球値)の変化

歯科健診の初回受診時における、歯ぐきの健康状態(唾液中の白血球値)と全身健康の指標 (CRP、HbA1c)との関連性を解析したところ、歯ぐきの健康状態が悪い群では、全身の炎症状態を示すCRP値、および検査前1〜2月間の血糖値を反映するHbA1c値が有意に高く、口腔の健康状態と全身の健康状態が関連する可能性が考えられたという。さらに、初回の受診時に唾液中の白血球値が高かった群のうち、2回目受診時にその値が改善した群では、改善しなかった群と比較してCRP、HbA1c の値の悪化が有意に低減しており、口腔健康状態の変化が全身健康の変化と関連することを示唆しているという。

  • 口腔と全身健康指標の関連

    口腔と全身健康指標の関連

なお、同研究の一部内容は、2023年1月27日・28日に開催された「日本総合健診医学会 第51回大会」 にて日立健康管理センタとライオンが共同で発表した。