日立システムズは2月9日、東京医科歯科大学と、医療情報の交換・共有の標準規格であるHL7 FHIRを活用し、同病院のがん患者の電子カルテデータの連携・利活用に関する共同研究を実施したことを発表した。
同研究では、日立システムズが提供するアマゾン ウェブ サービス(AWS)を利用した医薬・ヘルスケアプラットフォーム上で、東京医科歯科大学病院の頭頸部がん患者約200名を対象にデータ使用を拒否しなかった患者のデータを仮名加工化し、HL7 FHIR形式に変換したうえでデータを分析した。
分析結果については、治療計画の作成など実際の診療に役立つよう、異なる治療法や薬剤の違い、リンパ節転移の有無など、複数の条件によってその後の生存期間がどのように変わったかなどをグラフ形式で表示した。これにより、病院内で統合した治療情報の確認がタイムリーにできるようになったという。
今回の研究にあたっては、日立システムズの「医療情報ガイドライン 準拠アセスメント・構築支援サービス」を活用し、HL7 FHIR形式に変換する際に必要となるコード体系やフォーマット変換をデータパイプライン処理により、自動化したことでデータ生成の期間や工数の短縮に成功したという。
さらに、医薬・ヘルスケアプラットフォーム上で保管するデータについては多要素認証、ゼロトラスト、WAF等のセキュリティ対策を施しており、サイバー攻撃等からも保護するということだ。
今後は病院内だけでなく、他医療機関で保有している医療情報についても連携させることで、治療計画などへのさらなる活用が期待できるとし、両者は今回の共同研究の結果をもとに、さらなるデータの利活用を推進するとしている。