ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)が2月7日に発表した2022年4~12月の連結業績(国際会計基準)は、最終損益が9125億円の赤字(前年同期は3926億円の黒字)だった。4~12月期としては過去最大の赤字幅となった。
赤字の主な要因はAI(人工知能)関連のスタートアップに投資するソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)による投資損失だ。世界的な株価の下落の影響を受け同事業は苦しい状況が続いている。同事業を通じた投資による赤字は5兆68億円だった。
一方で、中国・アリババ集団株を2022年8月から9月にかけて手放したことなどにより、持株会社投資事業の投資利益は3兆6996億円の黒字。SVF事業からの投資損失と合わせると最終損失は1兆3612億円だった。
また、グループ傘下の半導体設計を手掛けるアームの増収などが寄与し、売上高は前年同期比6%増の4兆8757億円だった。
7日に開催された決算説明会では、前回の決算発表会で予告していた通り孫正義会長兼社長は登壇せず、CFO(最高財務責任者)の後藤芳光氏が中心となり決算のプレゼンテーションを行った。後藤氏は、「『情報革命の資本家』というビジョンは変わらない。あらゆるシナリオを想定した安全な財務運営を行うため、今は攻めるための守りの姿勢を続ける。それと同時にアームなどの投資先の価値向上に引き続き注力していく」と、慎重な姿勢を見せていた。
ソフトバンクGでは、「NAV(時価純資産)」「LTV(負債カバー率)」「手元流動性」の3つを最重要指標として位置付けている。
2022年12月末のNAVは13兆9000億円と9月末比で2兆8000億円減少した。為替の影響が1兆5000億円あったとしている。またLTVは18.2%と9月末比で3.2ポイント上昇したが「25%以下であれば低位と言える」(後藤氏)という。手元流動性は3兆8000億円と9月末比で5000億円減少したが、「少なくとも2年分の社債償還資金を保持できている」(後藤氏)とのことだ。
説明会で後藤氏は「守りを固めることが重要」と何度も強調していた。22年4~12月期間のSVFでの投資額は28億ドルと、前年同期の392億ドルから大きく減った。
このことに対し後藤氏は、「今の環境下では『守り』を重視することが得策だ。しかし、AIによる革命への確信は変わっていない。また十分な手元流動性を確保しており、攻めようと思えばいつでも攻められる。当面は新規投資の厳選や既存の投資先の価値向上に努めていきたい」と考えを述べていた。