オムロンは、製造現場における設備保全のDXに貢献する状態監視機器の新製品として、アドバンスド・モータ状態監視機器「K7DD-PQ」を3月1日より国内向けに、4月3日から順次グローバルに向けて発売を開始することを発表。2月1日には、オンラインで記者説明会を開催した。
製造現場の人手不足解消に向けた商品を展開するオムロン
製造現場における人手不足がますます加速する中、特に熟練者の経験や感覚に依存していた設備の保全業務に対しては、自動化や効率化への需要が高まっている。
オムロンは2017年12月以来、これらの課題に対するソリューションとして、設備の状態異常を監視する状態監視機器のシリーズを展開。自動車・電子機器・食品&日用品・インフラの4業界で監視ニーズのある48種類の装置に搭載されており、特に監視の重要性が高い重点監視対象を設定し、それぞれの監視を自動化する製品をラインアップに追加してきたという。そして今回はその最後のピースとして、サーボモータや誘導モータといった頻繁に変速する設備の監視装置であるK7DDの発売に至ったとする。
なお、高速動作や頻繁な変速による負荷変動が激しいモータ設備は、ほかの設備に比べても機械的な劣化が激しく、刃具の摩耗に加えて突発的な故障などのリスクが高い。そのため、故障に至る前の異常を察知して、その劣化状態に基づいた改善を効果的に行う「予知保全」へのニーズが集まっているとのことだ。
新製品・K7DDが持つ特徴的な強みとは
今回発売されるK7DDは、およそ90mm四方の製品サイズで、モータの電流と電圧をセンシングすることで設備の状態を監視する。そのため、制御盤内のような限られたスペースでもシステムを完結させることが可能だという。また、電流と電圧のセンシングは配線を後付けすることで可能になるため、大掛かりな設置工事やITスキルが不要で、準備に要するコストが抑えられ導入ハードルが低いこともメリットだという。
また、製造現場において、モータを利用した装置にはさまざまな用途があり、部品の形状もそれぞれ異なる。同製品の強みとして、ベアリングや刃具、および加工品質など、それぞれ基準が異なる部分の状態を、1台で個別に監視できる点があるという。加えて、オムロンの前世代品「形K6CM」との違いとしてセンシング速度の向上があるといい、50ミリ秒ごとに特徴量の演算を行うことが可能になったことにより、処理性能が大きく向上したとしている。
特徴量を設定できる無料サポートツールも同時提供
また、K7DDを導入する際には、データ収集・分析用のサポートツールが無料で提供される。同ツールは直感的な操作を特徴としており、ユーザのスキルに依存しない条件設定を実現するとしている。
条件設定の際には、まず通常時の一定な動作データを学習させる。その後、検知したい故障の条件を再現した状態で動作させてデータを収集し、正常時と故障時の動作データを比較して、自動で異常検出に適した特徴量の選定をツールが行うという。この際、400種以上の特徴量から検出に適したものがスコア順に表示されるため、特別なスキルなどは必要ないとする。そして最後に、警告を表示するしきい値を設定することで、ツールの導入が可能になるとのことだ。
オムロンの製品担当者によると、主な顧客は自動車業界や半導体業界などを想定しているとしつつも、製造に携わる企業すべてにメリットが提供できるとしている。また、今後も状態監視機器のラインアップを拡充させていくことで、顧客と共に「デジタルエンジニアリング革新」を推進していくとした。