NTTは2月1日、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の柱の1つであるデジタルツインコンピューティングに関する取り組みとして、コミュニケーションを通じて相互に理解し合い、他者や社会とのつながり作りを支援するための技術を開発し、NTTドコモが基盤提供するメタバース空間構築基盤に試験実装したと発表した。
同社はデジタルツインコンピューティングにおいて、新たな未来社会を切り開くための4つのグランドチャレンジとして「気持ちそのものを伝えるコミュニケーション技術(感性コミュケーション)」「人と共に成長・共存する分身技術(Another Me)」「未来社会の姿を探索する技術」「地球と社会・経済システムの包摂的な平衡解を導出する技術」に取り組んでいる。今回の新技術の試験実装は、この取り組みの第一歩となる。
同基盤を用いた新たなコミュニケーションサービス「MetaMe」は、2月2日から3日まで開催される「docomo Open House'23」にて展示発表される。
今回開発された技術は「脳内表象可知覚化技術」「個人性抽出技術」「個人性再現対話技術」の3点。
「脳内表象可知覚化技術」は、心の中の捉え方や感じ方を直接的に理解するための新しいコミュニケーション手段の一つとして、心の動きを生み出す脳に着目し、脳内の反応と内面状態の関係をモデル化し図形等を用いて可知覚化するもの。従来の言語・非言語コミュニケーションでは伝達しきれない感情や認知の微細な変化を含む感性状態を「脳の表情」と捉え、読み取り、知覚可能にし、提示する技術として開発されている。この技術により、ユーザ自身や他者の捉え方・感じ方の理解を促進し、コミュニケーションの量・質を高めることが可能だという。
「個人性抽出技術」は、個人の行動ログから、行動に影響を与える性格・価値観・趣味などの情報を埋め込んだベクトルを学習する技術。これにより、本人の価値観にあった行動をAnother Meが再現できるようになる。例えば、価値観の類似度を比較して、価値観の近い人同士を見つけたり、多様な価値観を持つグループを作ったりすること可能だという。
「個人性再現対話技術」は、発言内容に一貫したキャラクタ性を持たせることを可能とする技術。本人の特性に基づき自律的に行動する人のデジタルツインを実現するための要素技術で、指定したプロフィールや趣味などに応じた発言が可能な対話AIを実現可能だという。