横浜市立大学大学院医学研究科 リハビリテーション科学の中村健教授および大学院生の岡村正嗣理学療法士らの研究グループは1月31日、昭和大学 藤が丘病院循環器センター循環器内科の礒良崇准教授ら、聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院の松田央郎准教授ら、NTTコミュニケーションズおよびNTTデータ経営研究所をはじめとするNTTグループと、心疾患患者が維持期において運動を継続できるように行動経済学の理論を用いた「運動サポートツール(スマートフォンアプリケーション)」を共同で開発し、2022年12月から、同サポートツールを用いた運動療法の有効性を検証する多施設共同研究を開始していると発表した。
共同研究では、同サポートツールを使用することによって普段の運動量や体力(運動耐容能)が向上するかを検証するほか、その後の再発・再入院が抑制できるかについて、同サポートツールを使用する群と使用しない群とで比較・検討する。
同研究は、横浜市立大学、昭和大学、聖マリアンナ医科大学の3大学病院の心臓リハビリテーション実施患者を対象に実施し、データの解析は横浜市立大学が一括して行う。NTTグループは、同サポートツールの開発や機器の提供に関わる。
同サポートツールは、NTTと東レが開発した機能素材である「hitoe」(最先端繊維素材であるナノファイバー生地に高導電性樹脂を特殊コーティングすることで、非金属素材でありながら生体信号を高感度に検出できる)を使った着衣型ウェアラブルデバイスとスマートフォンのアプリケーションから構成される。各患者の状態に適した運動目標を設定することができ、日々の運動実績に対して適宜フィードバックをすることが可能。
今後は、心疾患患者を対象とした同サポートツールの効果を検証する研究を進め、運動習慣の獲得を促進し、普段の運動量の向上、再発・再入院率の低下に繋がるアプローチ方法の開発を目指す方針。