2023年1月25日~27日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている「第15回 オートモーティブワールド」において、6年ぶりとなる出展を果たしたルネサス エレクトロニクス。同社ブースでは、ECUに搭載されるマイコン/SoCのみならず、ソリューションとして必要となるパワー半導体やレーダ技術などの紹介が行われている。
同社は、開催初日となる1月25日には、絶縁耐圧3.75kVrmsにより、1200V耐圧のパワーデバイスに対応するIGBT/SiC駆動用ゲートドライバIC「RAJ2930004AGM」を開発したことを発表したが、このサンプル品も展示されている。
同製品は、xEVバッテリの高電圧化に対応することを目的に、絶縁耐圧を従来品の2.5kVrmsから3.75kVrmsまで強化したことで、1200V耐圧のパワーデバイスにも適用可能となったドライバIC。通信の安定性やノイズ耐性の指標となるCMTI(コモンモード過渡耐圧)が150V/ns以上となっており、より高い電圧や、より高速なスイッチングが求められるインバータシステムでも安定した通信性能を維持できるとしているほか、従来品の48ピンパッケージから、16ピンのSOIC16パッケージへと変更したことで、システムの低コスト化も図ることができるようになったとしている。また、専用のパワーモジュールも展示されており、こちらも2023年中にサンプルを出すことを公式発表する予定だとしている。
同じくパワー半導体関係としては、IGBTの300mmウェハも展示されているほか、車載のリレーやフューズの置き換えを狙ったインテリジェントパワーデバイス(IPD)とマイコンを組み合わせた「E-Fuse」による電源管理デモも見ることができる。IPDは、ヒューズやメカニカル・リレーに比べ耐久性の高い半導体スイッチと各種保護/診断回路を1パッケージに集積したもので、マイコンと組み合わせることで、フューズのような物理的な保護ではなく、電流をリアルタイムでセンシングし、規定値を超えると電流を遮断するといったことが可能。物理的な交換が必要なく、またECUの負荷に近い場所に配置することが可能となるため、ハーネスの線径最適化や軽量化などのメリットもあるという。
このほか、将来的な需要を見据えたワイヤレスバッテリマネジメントシステム(BMS)のデモも行われている。同社のワイヤレスBMSの考えとしては、各バッテリ/セルを管理するバッテリマネジメントIC(BMIC)とBluetooth LE(BLE) 5.1デバイスをペリフェラル側に、セントラル側にもやり取りするためのBLEと、パワーマネジメントIC(PMIC)、マイコン(RH850)、IPDといったデバイスで構成するもので、これら主要な半導体のほか、処理のためのソフトウェアまで含めて自社で提供できることが強みだとしている。今回のデモではBLEチップは産業グレードのものとなっているが、近い将来車載グレード品を公式に発表する予定だとしている。
さらに、同社が2022年10月に買収を完了したファブレス半導体企業Steradian Semiconductorsの技術を活用したレベル3以上の自動運転に向けたミリ波レーダーソリューションもデモを見ることができる。こちらは、28nm RFCMOSプロセスを採用した4Tx/4RxのレーダートランシーバIC「RAA270205」を用いたもので、16Tx/16Rxのイメージングレーダーボード(評価ボード)「Calvere RF(開発コード名)」を使って、ブース前を通行する人の距離を測定するというものとなっている。同社ではCalberaのほか、コーナーレーダー用のサテライトレーダーボード(評価ボード)「Polaris(開発コード名)」も開発しており、いずれのボードもp現在、社内で評価を進めており、2023年第1四半期中には提供できる予定だという。