IDC Japanは1月26日、2022年9月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大に加えて、急激な円安、原材料価格高騰による影響を考慮した国内IT市場予測を発表した。

2022年の国内経済は、COVID-19の感染拡大、円安の進行による輸入原材料価格の上昇や、世界経済の減速懸念、ロシア・ウクライナ戦争などの地政学的な不確実性の高まりといった下押し圧力があるため、製造業など一部産業分野の企業では業績に悪影響が及んでいる。

しかし、サプライチェーンやサイバーセキュリティの強化といった分野の優先度は高く、IT支出に対する阻害要因は過去の経済危機と比較して影響が軽微に留まっていることから、2022年の国内IT市場規模は前年比4.6%増の20兆2137億円と同社は見込んでいる。

2023年は、COVID-19感染拡大が沈静化し経済活動が正常化に向かうことで、影響を大きく受けた飲食、観光、運輸サービスは回復に向かうと同社は予測。IT支出の本格的な再開が見込まれるとしている。また、円安による輸入原材料価格の上昇や、ロシア・ウクライナ戦争の長期化などの地政学的な不確実性が徐々に緩和されると予測。

さらに電子帳簿保存法対応、インボイス制度対応などを目的にしたIT支出が見込まれることから国内IT市場全体で堅調な拡大し、2023年の国内IT市場規模は前年比5.7%増の21兆3716億円と同社は予測した。

地域別で見た場合、各地域のIT市場は2022年において各地域でプラス成長に回復しているとのこと。特に「大都市圏」(関東地方、東海地方、近畿地方)では、大企業、中堅企業における業務効率化、企業変革を目的とした積極的なIT支出の拡大を見込んでいるとのことだ。

  • 国内IT市場 地域別 支出額予測、2021年~2026年 出典:IDC

    国内IT市場 地域別 支出額予測、2021年~2026年 出典:IDC