ASMLは1月25日、2022年第4四半期の決算業績を発表した。それによると売上高は、前四半期比11.3%増の64億3000万ユーロ、純利益は同6.8%増の18億1700万ユーロ、売上総利益率は51.5%だったという。また、同四半期の予約額は63億ユーロで、このうちEUV露光装置が34億ユーロであり、需要に供給が追い付いていない状況が続いているという。
この結果、2022年通年の売上高は、前年比13.8%増の211億7600万ユーロ、売上高総利益率は50.5%、純利益は56億2400億ユーロとなった。同社は、2023年の売上高について、前年比25%以上の成長を予測しており、第1四半期については、売上高が61~65億ユーロ、売上総利益率は49~50%と予測している。
供給が間に合わないほど好調が持続
ASMLの社長兼最高経営責任者であるPeter Wennink氏は、今後の見通しについて、「インフレ、金利の上昇、不況、地政学的なリスクによって引き起こされる市場の不確実性を引き続き見守っていく」としたほか、「経済に対する懸念や半導体在庫拡大で経済見通しは悪化しているが、顧客は年末に向けた状況改善を予想しており、中国経済も新型コロナ規制の終了で回復しつつある」と指摘、「ASMLに対する需要は依然として生産能力を上回っている。2023年は、前年比で売上高が25%以上増加し、売上総利益率も改善が進み、引き続き力強い成長を遂げると予想している。研究開発費は約9億6500万ユーロ、販売費と一般管理費は約2億8500万ユーロと予想している」としている。
また、米国が進める対中半導体規制のオランダ政府への同調要請について、ASMLの成長に影を落とす恐れがあるとし、「我々は、政治家ではなくビジネスマンだ。政府や政治家が協議を続け、合理的な解決策に達するのを待つしかない」とコメント。同社は、中国への輸出を自ら規制することはせず、世界中の顧客を平等に扱うとしている。同社の中国市場の売上高に占める割合は2021年に16%、2022年に14%となっている。
EUV顧客5社から高NAモデルを受注済み
2022年のEUV露光装置の売り上げについては、前年比12%増の70億ユーロとなっている。出荷台数は54台で、そのうち40台が検収を終えて売り上げが計上されている。すでにEUVを導入している顧客5社(TSMC、Samsung、SK hynix、Intel、Micron)から次世代の高NA(=0.55)露光装置の注文を受けているという。
一方のDUV露光装置の売上高は、同13%増の77億ユーロで、新モデルであるArF液浸露光装置「NXT:2100i」とドライArF露光装置「NXT:870」が貢献したという。
この結果、2022年の技術別売上高内訳は、EUVが46%、液浸ArFが34%、KrFが11%、ドライArFが4%となっている。また、地域・国別売上高は、台湾が42%、韓国が29%、中国が14%、米国が7%、日本が4%、日本と中国を除くアジアが2%、欧州・その他が2%となっている。用途別では、ロジックが65%、メモリが35%で、DRAMへのEUV導入が進むにつれてメモリ向け売り上げが増えてきている。