商工中金は1月25日、「中小企業の賃上げの動向」を発表した。同社は、四半期に1度、中小企業の景況調査を実施しているが、今回、2022年11月調査の結果を公表した。有効回答数は2,284社。
同社の調査により、2022年の2023年いずれも、「定例給与・時給」は7割強、「賞与・一時金」は6割弱の中小企業(方針未定等の先を除くベース)が引き上げを実施・実施予定であることがわかった。
業種別では、コストアップ分の製品価格への転嫁が比較的順調な鉄・非鉄等で「定例給与・時給」引き上げ先が多いという。賃上げ率も高い一方、転嫁の難しさを訴える運輸業、印刷業、情報通信業では引き上げを行う先が少なく、賃上げ率も低い傾向にあるとのこと。
また、飲食・宿泊では特に「一部従業員のみ引き上げ」の割合が高くなっている。引き上げ対象は、最低賃金の上昇もあって、若年層やパート・アルバイトといった相対的に賃金の低い層の底上げを行った旨の回答が多かったという。
そのほか、自由回答では、最低賃金引上げへの対応負担増大やいわゆる「年収の壁」問題の深刻化を指摘する声が目立ったとしている。また、足元の物価上昇への対応として、定例給与引き上げ以外でも一時金、各種手当・補助を実施しているという声も多かったという。