NTT東日本は、1月24日~26日、同社グループのソリューション・技術やアセット、取り組み事例を顧客に体感してもらう場として、リアルイベント「NTT東日本グループSolution Forum2023」を、NTT中央研修センタ(東京都調布市)で開催している。

  • 「NTT東日本グループSolution Forum2023」の会場となったNTT中央研修センタ

イベントでは、ソリューションの展示会場が設けられたほか、同社 代表取締役社長 社長執行役員 澁谷直樹氏による基調講演や「地域のミライをつくる、魅力の見つけ方、届け方」をテーマにパネルディスカッションなどが開催された。

展示会場では、1月19日、同社とグリラスが発表した「食用コオロギのスマート飼育の実証実験」の飼育施設が公開された。この実証実験は、徳島大学発のベンチャー企業グリラスが手掛ける食用コオロギの飼育・販売をNTT東日本のICT技術を活用し、飼育の効率化を行おうというものだ。

  • コオロギの飼育施設

  • 飼育施設で使われている湿温度センサー(セット)

  • コウロギを原料にした食品

自動巡回型ドローンをデモ

また、自動循環型ドローン「Skydio2+」のデモ飛行も行った。橋梁点検や鉄塔点検などで利用されている。あらかじめ決められたルードを自動で巡回して撮影し、途中に障害物があっても自動で回避する。現在のドローンとの通信はWi-Fiだが、将来は5G、ローカル5Gに対応していくという。同社では、今年の春から通信環境をセットにして販売する予定 。スマートファクトリー、スマートプラント、工事現場の監視なども用途として想定しているという。

  • 自動循環型ドローン「Skydio2+」

  • ドローンの撮影した画像

「データ連携プラットフォーム」

自治体向けのソリューションでは、データ収集・連携・分析のプラットフォームとして「データ連携プラットフォーム」を展示。スマートシティ用途などを想定している。防災、観光、エネルギー、医療分野などでの利用が考えられ、災害用途では、河川の水位・リアル映像、浸水度合、降水量などの気象データ、避難者の個人情報(要介護者など登録者のみ)などを表示したり、避難所の人数をカウントしたりできる。災害情報では、過去の災害をベースに、今後の被害予想を分析できるという。観光では、観光地を訪れた人の属性、人数、滞留時間などを集計し表示。医療では検診の受診率向上や介護関連の分析などに利用できるという。

  • 「データ連携プラットフォーム」概要

  • 「データ連携プラットフォーム」の防災マップ

  • 避難所の受付システム。ボタンを押すをカウントアップされる

  • 医療・健康用途

ローカル5Gのソリューション

ローカル5Gのエリアでは、分身ロボット「Orihime-D」を展示。リモートで映像や音声を確認しながらコミュニケーションが図れる。従来はWi-Fiを利用していたが、実証実験でデータ遅延が発生したため、ローカル5Gを活用しているという。従来、ローカル5Gは5年で7000-9000万円ほどの費用がかかっていたが、ギガらく5Gの提供により、5年間で2000万程度に圧縮できるようになったという。この技術は、建設現場の重機のリモート操作にも利用できるという。

  • 分身ロボット「Orihime」

  • 分身ロボット「Orihime」のリモートの操作画面

また、AIの外観検査(よごれやキズ)を組み込んだロボットアームも展示、工場内での利用を想定し、ケーブルレスで通信できるローカル5Gを利用しているという。

  • 外観検査を組み込んだロボットアーム

  • 外観検査の画像

  • ローカル5Gのアンテナ

工事の安全管理

工事の安全管理の分野では、NW(ネットワーク)カメラによる安全の見える化ソリューションを展示。NWカメラを工事現場に設置し、管理者が遠隔で確認できるほか、AIでカラーコーンから工事者がはみ出していないかをチェックし、管理者に知らせる。

  • 管理者は遠隔で複数の現場をモニターできる。危険作業が発生した現場は、映像に赤枠が表示される

  • 使用するNWカメラ

また、作業者の姿勢をセンサーで検知するソリューションも展示。慣性センサーをフルハーネスに取り付け、上を向いた作業、身を乗り出した作業を検知すると、スマホに危険を知らせる。

  • 上を向いた作業は危険と判断

荷重センサーを取り付けた脚立も展示され、一定重量を超えた場合、安全のフックがかけられていない場合には警告を出すという。

これらは現在トライアル中で、2023年度に実用化される予定。

  • 慣性センサーを付けたフルハーネスと重センサーを取り付けた脚立