米司法省は1月24日(現地時間)、米Googleのデジタル広告事業が反トラスト法(独占禁止法)に抵触しているとして同社をバージニア州東部地区連邦地方裁判所に提訴した。原告団には、カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ロードアイランド州、テネシー州、バージニア州の司法長官も加わった。同省は2020年10月にGoogleのインターネット検索事業が反トラスト法に違反しているとして訴えており、同社を相手取った2件目の反トラスト訴訟になる。
司法省などは、過去15年間にわたってGoogleが買収を通じてアドテク業界における競合を無力化または排除し、デジタル広告市場全体にわたる支配力を行使してパブリッシャーや広告主に同社の製品を採用させ、広告コストをつり上げてきたと主張している。GoogleはパブリッシャーがWebサイト上で広告を販売するために使用するパブリッシャー広告サーバーを手がけ、広告在庫の購入を支援する広告ネットワークを支配し、さらに広告枠のリアルタイムオークションの最大の取引所を運営していると指摘。取引所の運営者が最大の買い手兼売り手として競争に参加していることを問題視しており、その非競争的な手法によってデジタル広告テクノロジー製品の利用を通じて費やされる広告費の平均30%以上がGoogleに流れているとしている。
昨年7月、ビッグテック企業に対する独占禁止当局の監視が強まる中、Googleがオークション事業などの分離を提案したとWall Street Journalが報じた。しかし、それは親会社であるAlphabet傘下の別会社への移管だった。司法省は今回の提訴で、パブリッシャー広告サーバー、DFP、広告取引所、AdXを含むGoogle Ad Managerを分割する抜本的な構造改革を求めている。
ビッグテックによるデジタル広告の支配を巡っては、昨年5月に共和党と民主党の上院議員による超党派グループが「Competition and Transparency in Digital Advertising Act」(デジタル広告における競争と透明性に関する法)を提出した。デジタル広告関連の売上高が年間200億ドルを超える企業がデジタル広告業界の複数の部分に関与することを禁じる法案で、Google、Meta、Amazonが該当する。同じ企業がデジタル広告の売り手と買い手になっている現状の改善を求める動きが米国で強まっている。