日本総合研究所、今村商事、サトー、西日本イシダ、まいづる百貨店の5社は1月24日、商品個々について賞味・消費期限別に在庫管理しながら、ダイナミック・プライシングによる売り切りを図り、これらによるサプライチェーンの効率化および食品ロス削減への効果を検証する実証実験を、2月26日までの予定で佐賀県で開始した。

  • 実証実験の全体イメージ

今回の実証実験は、経済産業省委託事業である「令和4年度 流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減の事例創出)」の採択を受けたもの。

賞味・消費期限別の在庫管理とその情報に基づくダイナミック・プライシングを使用した販売によって、サプライチェーンの効率化と食品ロスの削減を図り、その効果を測定するという。

商品には、入荷時に2次元バーコード(GS1 DataMatrix)を印字したラベルを貼り付け、ラベルの発行データを、ダイナミック・プライシングの専用ツールである「サトー・ダイナミック・プライシング・ソリューション(SDPS)」に取り込むことで、賞味・消費期限別の在庫状況を可視化して管理する。

SDPSは、予め設定した価格改定のルールに基づき、1日複数回、在庫状況を踏まえて自動で価格設定を行うという。その際、同じ商品でも賞味・消費期限の差に合わせて、価格にも差を付けるとのこと。設定した価格は、電子棚札とPOSシステムに自動連携する。

消費者は、電子棚札に表示した賞味・消費期限別の金額を確認した上で、それぞれの賞味・消費期限を表すラベルを貼った商品を選択し、その後、通常通りPOSレジで商品を購入する。

なお、GS1 DataMatrixのPOSレジでの読み取りは、今回の実証実験が国内では初の導入事例になるとのことだ。

検証テーマとして5社は、小売店舗業務の効率化、小売店舗における効果的・効率的な売り切り促進、食品メーカーにおける製造見込み数の精度向上の3点を挙げ、賞味・消費期限別に商品を在庫管理し、その情報に基づくダイナミック・プライシングを取り入れた販売による、サプライチェーンの効率化と食品ロスの削減の効果を検証するとしている。

実証実験において、今村商事はシステム設計支援と運用設計支援を担当する。サトーは、ダイナミック・プライシング・システムの提供、電子棚札の提供、実証実験の運用を担う。西日本イシダは、POSシステムの改修を担当する。まいづる百貨店は実施場所を提供すると共に、実証実験の運用を担う。日本総研は、全体設計・推進・効果検証を担当する。

今後各社は実証実験の結果を検証した上で、それぞれの分野から、サプライチェーンの効率化と食品ロスの一層の削減に役立つサービスの開発と社会実装に向けた活動を推進するとのことだ。