中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進するための「DXマーク認証制度」を運営する中小企業個人情報セキュリティー推進協会が1月24日、DX推進に関連する業務を行っている自治体職員212名に実施した「自治体におけるDX推進に関する実態調査」の結果を発表した。
「自治体の県民・市民向けに提供している窓口・行政業務において、DXを推進する上で課題となっていること」は、「職員のITスキルが不足している」が63.7%で最も多かった。これに、「職員が利用するIT機器が古い/不足している」(31.6%)、「利用者用に設置する各種端末が不足している」(28.3%)という回答が続いた。
「職員のITスキルが不足している」と回答した人に、「どのようにすれば、対応が可能になると感じていますか」と質問すると、上から順に「ITの基礎から学べる環境・研修などを整える」(59.3%)、「ITに詳しい民間人を雇用(業務委託含む)して役所内に常駐してもらう」(53.3%)、「使用する端末やシステムについての操作を業者から教えてもらう」(28.1%)という回答になった。
さらに、「デジタル田園都市構想やさまざまな地方創生予算などがあり、自治体には地域内の事業者へDXを推進・啓発する業務」についても質問が行われた。その結果、「役所内にDX推進についての部署がある(設置する予定がある)」(57.5%)、「DX推進に知見がある民間企業へ、紹介・相談している」(25.9%)、「相談を希望する事業者に対する相談窓口がある」(23.6%)という回答が得られた。
また「自治体が地域内の事業者へDXを推進・啓発していく上で、どのような課題があると感じていますか」と聞くと、「普段の業務が多忙で対応しきれない」が59.0%、「職員にDXの推進や関連補助金申請についての経験がない」が36.8%、「地域内の事業者でどの法人がDXに取り組めるか、どう取り組むべきかわからない」が32.1%という結果になった。
最後に「お勤め先の自治体におけるDX推進状況について、職員としてどのように感じていますか。その印象として最も近いものを教えてください」と聞いた質問では、「首長の明確なビジョンとDX推進のための計画があり、幹部職員はじめ組織として明確な方向に向かっている」が19.0%にとどまった。また、「DX推進についてのビジョンや計画はあるが、それを実行するうえで、組織やリソース、予算など、多くの課題が未解決のままである」が49.1%と、約半数が課題を抱えた状態であることが判明した。