日立製作所(日立)と上下水道事業運営などを手掛けるウォーターエージェンシーは1月24日、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用し、下水処理場から排出される脱水汚泥(脱水して塊になった汚泥)の水分量を削減する「汚泥削減サービス」の実用化に向けた共同開発を開始したと発表した。脱水汚泥の最終処分または再利用の委託費用や、脱水汚泥の輸送や焼却工程で生じるCO2排出量の削減による環境負荷の低減を目指すとのこと。
同共同開発では、下水処理場における脱水機の運転ガイダンスシステムの技術開発、および同システムの活用を軸に自治体と維持管理受託事業者の双方の収益性改善につながるサービスモデルの確立を目指す。
下水処理場の運営において、脱水汚泥の最終処分または再利用の委託費用は維持管理費に占める割合が大きく、処理の工夫による脱水汚泥量の削減は事業の収益性改善に向けた重要な課題だ。一方で、脱水汚泥の最終処分時または再利用において焼却処理される場合には、エネルギー使用量やCO2排出量を削減するために、それまでの脱水工程で脱水汚泥に含まれる水分量を低減しておく必要があるという。
両社が開発を目指す同システムは、より好適な条件の予測によって効率的に脱水汚泥中の水分量を低減するために、脱水機運転の重要指標である汚泥の凝集状態および脱水汚泥中の水分量を連続で監視する。またデータ解析によってノウハウを形式知化することで高効率な運転をガイダンスする。
これにより、場外へ搬出する脱水汚泥量の低減に効果的な運転と運転管理業務の標準化を実現するとともに、脱水汚泥の輸送量および搬出後の焼却に必要なエネルギーを低減することで、CO2排出量の削減にもつなげる。
今後、ウォーターエージェンシーが運営を受託している国内の下水処理場において同システムの実証実験を行い、性能や実用性の検証を行う予定で、2024年3月までに「汚泥削減サービス」としての実用化を目指すとのことだ。