KDDIは1月24日、サムスン電子と富士通の協力によって、1月19日に大阪府大阪市内でO-RAN標準インタフェース準拠のオープン化した5G(第5世代移動通信システム)仮想化基地局の商用展開を開始したことを明らかにした。
今回商用展開を開始した基地局は、2022年2月に商用通信に成功したO-RAN標準に準拠した基地局のソフトウェアを更新したものだ。サムスン電子の無線制御装置(DU:Distributed Unit、CU:Centralized Unit)と富士通の無線装置(MMU:Massive MIMO Unit)をオープンインタフェースで相互接続している。無線制御装置は汎用サーバ上に完全仮想化された基地局ソフトウエアを搭載してネットワーク機能を実現しているという。
無線装置は高効率かつ広帯域の電力増幅技術の活用によって、小型軽量化と低消費電力化を両立。中核機能がソフトウエアとして実装されているため、ネットワークリソースの柔軟かつ効率的な管理に対応するとのことだ。
今回のソフトウエア更新により、既存の4G基地局と連携した5G NSA方式や、MU-MIMO(Multi-User MIMO)など、専用機器を用いて従来の基地局で実現していた機能にも対応した。そのため、既存の5G NSA対応のスマートフォンユーザーにも従来通りの通信環境を提供するとしている。
さらに、KDDIは基地局の運用開始時に設定作業を自動化(Zero Touch Provisioning)するシステムを構築したようだ。これは、異なるベンダーで構成したサーバや仮想化プラットフォームの設定作業を自動化するもので、地方などを含めた全国への迅速な基地局展開に貢献し得るという。
今回の大阪府大阪市内での運用による知見に基づき、2024年には同システムの適用範囲を広げ、基地局の本格展開と共に提供の拡大を進める予定。