生産性を改善すると聞くと、ツールを導入すると思うかもしれない。自分の強み、自分が得意とする作業などを分析するというアプローチを紹介する記事を、Edtechプラットフォーム企業のPotentialが「Productivity Skills: Improve your time management and reduce your stress」として紹介している。2020年の記事だが、参考になるので紹介しよう。
まず生産性改善で重要になる時間管理だが、「優先順位付け」「整理(スケジュール管理、情報の整理など)」「注意力の維持」「適度な休憩」などが挙がっている。これらは改めて重要性を説くまでもないだろう。もう一つ、「イエスと言う姿勢」を挙げる。どう言うことだろう?これまでやったことのない新しいタスクが出てくると、心理的に乗り越えなければならないものがあるーー何を求められており、そのためにやらなければならないのか。場合によっては、やり方を変えたり、学ばなければならないことがあるだろう。優先順位を高くして、重要ではないミーティングなどをキャンセルできるならば中止する。新しいことにイエスということは学びの時間とコストを要するものなのだ。
では、自分の強みの分析と生産性との関係とはどのようなものか。やらなければならない作業を考えると気が遠くなるような時がある。一方で、作業と一口に行っても、簡単にできる作業(=強みを活かせる作業)もあれば、気が進まない作業(=強みを活かせない作業)もある。そこで、自分はどういった作業が得意なのか、どういった作業が苦手なのかを分析し、組み合わせや順番を考えてパフォーマンスを改善できないか?というわけだ。
自分の強みを知るためには、まずはどのような作業をやっている時が楽しいのかを考えてみよう。熱意を感じるのはどのような分野か、過去にうまく行ったプロジェクトに共通点はあるかなどが糸口になるかもしれない。
次に、自分のユニークさが活かせるところを分析してみよう。あなたしかできないこと、あなたが加えることができる付加価値は何か?そこをさらに改善できないか。そこまで考えたら、自分の好きなところは何かを分析してみよう。粘り強さかもしれないし、新しいことを学ぶ姿勢かもしれない。
このような自己分析に加えて、自分を高めるため自己啓発のために日常に読書を取り入れることもアドバイスしている。ビジネス書でもいいし、新聞を通じて世界や社会の動きを知り、他の人の生き方や興味関心に触れるだけでも、いい刺激になるだろう。読みながら、自分自身を振り返り、自分の強みを再確認するといいという。
自分の強さと弱さをしっかり捉えることは生産性の改善につながる、と記事。自分の資産を確認して、それに投資したい。ストレス管理のアドバイスも列挙しているので紹介しよう。
ストレスを感じるのは、やらなければならないことや目標が自分が使えるリソースを上回っているから。ストレス下にある状態はキャパシティを消費するので、生産性のためのスペースを残しておこう。記事では、ストレス管理として以下を推奨している。
- マルチタスクはしない
- 運動する
- ポジティブ思考
- 完璧主義を捨てる
さて、なんでも引き受ければ良いというわけではない"イエスへの慎重さ"には表裏一体の別の要素もある。"ノー"の話だ。例えば、部署間をまたぐプロジェクトなどがアジャイルに進行している会議などでは、すでに進行しているが"懸念材料のあるもの"に対しては、何らかの形で伝達しておいた方がいいだろう。理想的な組織であれば、代替え案を深掘りするなど批判的な意見であっても受け止められる。
一方で、真逆な組織の場合、自分の守備範囲では無いと躊躇する人も多いだろう。批判的な意見を容認しないタイプの組織、上意下達のプロジェクトでただただ賛成を強いてしまっている会議。批判的な意見であっても真剣に考える文化では、それを課題と考えレスポンスし、改善が加えられる。そうでない組織は、情緒的に天邪鬼の声のように考えてしまうことがある。
懸念があっても"Yes"とは中世でもあるまいし、と思うなかれ。古今東西、大きな歴史的な転換からそのあたりに転がる小さなインシデントまで、責任者が耳の痛い話や小さな意見をどう考えるかで変わっていたという例は枚挙にいとまがない。懸念材料があるのであれば、"まろやか"に伝えておいたほうが後悔しないし、たいていの場合、懸念材料は大きな課題の素(もと)であり源(みなもと)になる。どう考えるか?でまさに天地ほどの開きになるケースもある。