富士通は1月23日、ドイツのサーキット運営会社であるニュルブルクリンクにおけるレースの安全対策のために、AI(Artificial Intelligence:人工知能)技術を活用する包括的な支援を行っているが、その第一弾として、世界最長で多数のカーブを持つ難易度の高い常設レーストラック「ノルドシュライフェ」において、AI技術を活用した安全対策強化に向けたシステムの運用を開始することを発表した。
これまで、ニュルブルクリンクのレーストラックでは、レースの安全を守るスタッフである「トラック・マーシャル」による旗振りやラジオ放送によって、ドライバーに危険の警告や事故発生を伝えていた。しかし、従来の方法では救助が来るまでに時間を要するだけでなく、場合によってはコースが閉鎖されレースに大きな影響が生じるといった課題があったという。
そこで富士通とニュルブルクリンクは、カメラやAIを搭載したICT(Information and Communication Technology:モノのインターネット)の活用により、レーストラックの異常を自動検出し、ドライバーに即座に危険を警告できる基盤を整備して安全対策の強化を目指す。
富士通はレーストラック上の車両や人物を識別するAI画像認識機能により、レーストラック、砂利、芝生の表面、ガードレール、安全柵などをリアルタイムに判別可能なシステムを構築した。
これにより、レーストラックでの事故やコースへの人の侵入、車両の立ち往生、低速車両などの発生をカメラが捉えると、その情報を受信したAIが安全上の問題発生を識別し、レーストラック上のライトやLEDディスプレイに警告を表示できるようになった。なお、同システムは、今後の適用拡大を見据えてモジュール設計を採用した拡張性の高いシステムとしているとのことだ。