キョーラクと日本IBMは1月23日、二重構造で難易度の高いハクリボトルの外観検査を自動化するため、2022年1月に導入した検品工程にAIを活用した外観検査システムが今年1月から土浦工場で本格稼働したと発表した。

ハクリボトルとは、二重ボトルと逆止弁キャップの組み合わせで、内部への酸素流入を防ぐ、画期的な二重構造の抗酸化ボトルのこと。食品だけでなく、無添加の化粧品や洗剤など、さまざまな用途に広がりを見せている。

  • ハクリボトルの構造

一方で同ボトルは、内袋が外殻から剥離して縮む二重構造のため、従来のボトルに比べ、様相や異物の色の識別などの特徴でルール化するのが難しい不良がある。そのため、キョーラクでは、既存の検査装置で検出できない不良を高いスキルを持った担当者が交代で目視により検査していたという。しかし、高いスキルを必要とする目視検査は、検査員による品質のバラツキや人材育成の難しさなどの課題が存在していた。

今回発表した外観検査システムは、AIを活用して判別することで、複雑な様相の不良にも対応可能になっている。また、新外観検査システムは、生産されたハクリボトルをリアルタイムに撮影し、画像をAI推論や学習を高速で処理できるサーバ「IBM Power AC922」で解析することで、製品生産のスピード要件を満たしながらリアルタイムでの検査を実現したという。

これによりキョーラクでは、ハクリボトル製造ラインの検品を無人化することが可能となり、安定して高い品質での検査を継続している。加えて、IBMの画像認識プロジェクトにおける知見、経験を適用し、AIに精通していない利用者でも効率的な運用や追加学習によりAIモデルの精度を高めていくツールを整備し、ユーザビリティの高いシステムを提供しているという。